全長×全幅×全高 3,780mm×1,796mm×816mm
エンジン種類 空冷4サイクル120゜V型8気筒DOHC
排気量 2,987.5cm3
最高出力 over 430HP/9,500rpm
最高速度 over 360km/h
車両重量 500kg including oil
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン
上:板溶接ロッキングアーム、下:Aアーム(トレーリング)
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン
上:Iアーム、 下:逆Aアーム、ダブルラジアスアーム
1968 / ホンダ RA302

'68年F-1世界選手権、第6戦フランスGP出場車と同型。独創的な空冷V8エンジン搭載。第1期F-1時代の最後を飾った。(ドライバー:J.シュレッサー)
●RA302/主要諸元
シャシー
シャシー構造 モノコック
エンジン型式名 RA302E
ギヤボックス 5速マニュアル
サスペンション形式
 前
ダブルウイッシュボーン
上:ロッキングアーム
下:Aアーム
サスペンション形式
 後
ダブルウイッシュボーン
上:Iアーム/ラジアスアーム
下:逆Aアーム/ラジアスアーム
ブレーキ形式
 前/後
ディスク/ディスク
タイヤ 前/後 4.75/10.30-15 6.00/13.00-15
車重 500kg
ホイールベース 2,360mm
トレッド 前/後 1,500mm/1,415mm


エンジン
タイプ名 RA302E
形式 空冷縦置きV型DOHC
Vバンク角 120度
気筒数 8
バルブ数 4/1気筒あたり
バルブ駆動 ギヤトレイン
排気量 2,987cc
ボア×ストローク 88.0×61.4
燃料供給装置 機械式燃料噴射
潤滑形式 ドライサンプ
最高出力 430ps以上/9,500rpm

史上まれに見る特異なマシン、それがRA302だ。その理由はすべて、エンジンに起因している。空冷エンジンなのである。F1の歴史の中で、空冷エンジンを採用して実戦を走ったのはわずか2台といえば、いかに稀なものかが分かる。

 このRA302以外の空冷エンジンは、1960年代初頭のポルシェだが、こちらは排気量が1500ccで発生する熱量も少なく、しかもポルシェお家芸のファンによる強制冷却を行なっていたからこそ可能なエンジン形式であった。一方、RA302は、3000ccの大排気量で、ファンなどによる強制送風を一切用いず、走行風のみで冷却を試みた。そのためマシン横からエンジン周辺にいたるまでいくつものエアインテイクが設けられ、外観もきわめてアグレッシブであった。

 また、ラジエターが不要となったフロントノーズは低く薄い造形で、のちにロータス72が導入したウエッジ・シェイプの考えに先んじていたとも言えた。冷却系の部品が不要になることで大幅な軽量化が期待され、そのメリットを増強すべくマグネシウムを多用するなど、さらなる軽量化が進められていた。

 空冷エンジン(120度V8という形式も他に例を見ない)という特異な部分がクローズアップされがちだが、このマシンの特徴はそこだけに留まらない。モノコックシャシーを採用し、エンジンを上部の梁で吊るという独特の設計は、後のフェラーリも取り入れたものだった。細部でも、ペダル方式を支点が下にあるオルガン式にするなど、新たな試みが各所に見られるマシンだった。予備テストの段階だけだったとは言え、計測機器を積んで無線でデータを飛ばす『テレメタリング』によるフィードバックを、世に先んじて取り入れた点も、このマシンの先進性を証明している。

 しかし高回転高出力の3リッターエンジンの発生熱量を、空気だけで冷やすには無理があったと言わざるをえない結末となった。国内テストを一切行わなずに運び込んだシルバーストーン・サーキットでのテストでも、最初の数周こそ快調だったが、すぐにオーバーヒート。冷却を補うべく大量に積まれたエンジンオイルを激しく吹き上げ、走行不能となった。まやかしを許さない宗一郎に内緒でオイルクーラーを増設したが、症状は改善されなかった。結局フランスGPのみの出走で、その後、プラクティスでトライされることはあったが、お蔵入りとなる運命をたどった。

●エンジン形式:空冷縦置きV型DOHC
●排気量:2,987cc
●ボア×ストローク:88.0mm×61.4mm
●最高出力:430ps以上/9,500rpm
●前タイヤ:4.75/10.30-15
●後タイヤ:6.00/13.00-15
●ホイールベース:2,360mm
●重量:500kg
RA302
 1968年(昭和43年)