●RC141(RC142)/主要諸元*( )内 = RC142
全長×全幅×全高 1,874×650×930mm ホイールベース 1,265mm 最低地上高 150mm 乾燥重量 87kg エンジン形式 空冷2気筒直立 カム形式/駆動 DOHC/ベベルギヤ バルブ数 2(4) 総排気量 124.62cc ボア×ストローク 44×41mm 最高出力 15.3/12,500(18/13,000)ps/rpm キャブレター形式 ピストンバルブ 点火方式 マグネトー 変速機 6段 燃料タンク容量(R) 15/20/25 潤滑方式 ウェットサンプ圧送併用 フレーム形式 バックボーン 前ブレーキ ドラム180mm 後ブレーキ形式 ドラム180mm 前サスペンション形式 ボトムリンク 後サスペンション形式 スイングアーム 前ホイール形式 H型アルミリム/スポーク 後ホイール形式 H型アルミリム/スポーク 前タイヤサイズ 2.50-18 後タイヤサイズ 2.75-18
ホンダが、そして日本のオートバイメーカーが初めて世界GPに挑戦した記念すべきワークスマシン。そしてまた、本場ヨーロッパのGP関係者やレースファンが初めて目にした日本製レーシングマシンでもある。
エンジンは4ストロークDOHC空冷2気筒2バルブ、ボア×ストローク44×41mm、カムシャフトの駆動はチェーン、ギヤなどあらゆる方法がテストされたが、当時としては小排気量GPマシンに一般的だったベベルギヤ/バーチカルシャフトによる駆動方式が採用されている。ミッションは6速。
フレームは、その後のRC各車の定番となるバックボーン(ダイヤモンド)フレームで、エンジンをフレーム構造体の一部/強度メンバーとし、剛性確保と軽量化の両立を目指した。フロントサスペンションには当時のホンダ車(市販車、レーサーともに)の主流だったリーディングリンク式を採用したが、マン島で一番の酷評をかった部分がこのフロントサスペンションでもあり、翌1960年型からすべてのRCはテレスコピックに改められている。
タンク、カウリングはアルミ製、小さなシートカウルは赤に塗られている。つまり、ホンダのGP挑戦初年度のマシンは、ホンダ伝統の赤タンク/銀カウルではなく、ほとんど銀色のマシンだった。タンクには旧ウィングマーク、カウルには「東洋からの挑戦」を意味する黄色の矢印にHONDAの文字が書き込まれている。またシートカウルには日の丸が貼られている。
なお、RC141は2バルブエンジンとしてマン島に持ち込まれたが、その練習期間中にさらなるパワーの必要性が認められ、並行して開発が進められていたRC142型4バルブシリンダーヘッドの投入を決定。現場でヘッドのみを換装してレースに出走するという離れ業をやってのけた。
マン島初出場ライダーの記念すべきゼッケンナンバーは6位谷口=8番、7位鈴木(義一)=29番、8位田中=27番、11位鈴木(淳三)=17番。写真のゼッケンは谷口のマシン。