斉藤数馬さんの「With ME Gunma」
から引用し掲載させて戴きました。
250 優勝のライラックの伊藤史朗
500 優勝のホンダ鈴木淳三
350 優勝のホンダ大村美樹雄
125 優勝のヤマハ日吉昇
ライラック250ccの伊藤史朗
スズキの神谷敏夫
スズキのSV型
  350ccクラスと500ccクラスは同時にレースが行われた。先に500cc、続いて350ccが、2台ずつ30秒間隔でスタート。350ccでは、ホンダの大村美樹雄、佐藤市郎、中村が1〜3位を占め、4位に陸王の平田、5位にマシンを押してゴールしたホンダの鈴木義一が入った。

 500ccクラスは、優勝がホンダの鈴木淳三。2、3位はDSKの井上武蔵と杉山義雄、4位はメグロの松川実だったが、DSKとメグロは外国製部品の使用により失格となり、キャブトン勢が2〜4位に繰り上がった。なお、350ccで優勝した大村美樹雄のレースタイムは、500ccで優勝した鈴木淳三より7分41秒も速かった。

         こうして日本最初のオートバイのビッグレースは幕を閉じた。
250ccクラスでは、シャフトドライブのライラックに乗る若冠16歳の伊藤史朗(いとうふみお)が優勝。2位はホンダの谷口尚己だった。
125ccクラスでは、ヤマハの日吉昇、小長谷茂、望月修、岡田輝夫が1〜4位を占め、スズキの山下林作、鈴木英夫、神谷敏夫が5〜7位、8位はベビーライラックの幸田で、スズキの市野三千雄は17位、伊藤利一は途中で棄権した。ホンダは完敗。スズキのマシンはSV型(2ストローク単気筒、ボア×ストローク:φ52×58mm、4段ミッション)だった。
レース結果は、各ライダーの順位とゴール時の前車との差だけが発表された。レースタイム(トータルタイム)やラップタイムは一切公表されなかった。主催者側より報道陣に対して、レースタイムなどについては発表しないよう、再三にわたり、要請というよりも命令があったとのことである。私はこの理由の真意を知らない。
第1回浅間高原レースは、1955年(昭和30年)11月5〜6日に開催された。北軽井沢をスタート地点とするコースは、公道(舗装路ではない)を用い、全長は19.2q。30秒間隔で2台ずつコースインするインターバルスタートだった。
1955年・第1回浅間高原レース
1955年12月号「モーターサイクリスト」誌の記事より

              第1回全日本オートバイ耐久ロードレース
                (第1回浅間高原レース)

                  優勝 125cc ヤマハ、 250cc ライラック
                       350cc ドリーム、 500cc ドリーム


 1955年11月5、6日、ファン待望の第1回全日本オートバイ耐久ロードレースは、浅間高原地内1周19.21kmコースで盛大に開催された。本レースはその企劃に於て、また規模に於て、世界的レースである英国ツーリストトロフィー.レース(T.T.レース)に準ずる一大レースであり??、国産モーターサイクルの真価を国内のみならず全世界に昂揚する機会だけに、全参加車、選手の精鋭は、いざ闘わんかな、時到れり!と真剣勝負そのもの気迫に溢れていた。午前9時サッと発走合図旗が打ちふられる。瞬間51番ミシマ 石井輝夫、52番アサヒ 田中 明両選手の第1走者は、物凄いスタートダッシュの爆音をとどろかし、土な蹴つて飛び出した。30秒間隔によつて次々と各レーシングは、覇権をこの一戦に賭けて勇躍浅間高原処女コースに向かってばく走、かくてわが近世モーターサイクル史上に一大記録をとどめる大レースの熱戦は漸く最高潮に達する・・・。

250cc ライラック「伊藤史朗」の優勝

浅間も晴れて・・・

 第1回全日本オートバイ耐久ロードレース(浅間高原レース)は11月4日公式練習を終えて、5日午前8時北軽グランドに於ける開会式によつてその火蓋は切られた。

 晩秋の日ざしに浅間の噴煙は静かにたなびき、上信越高原国立公園地帯は絶好の日和に恵まれている。代会総務委員長桜井淑雄氏の開会の辞、群馬県知事代理、林日本モーターサイクルレース協公副会長の激励挨拶ののち、選手代表の宣誓を終り、やがてレース開催の時刻も迫つた。北軽グランドにはきよう晴れて第1戦を飾るライトウェイト級掛250cc 5周を走破する選手27名が満を持して、レーシングの爆音も高らかに勢揃いし、一旦レースの諸注意事項を受けてのち、スタートへと移動する。やがて観衆の拍手をうけて往年の名選手岡野久吉氏は感激のうちに、スタートマンとしての位置につく。定刻午前9時発走合図旗はうちふられた。

 第1走者は51番ミシマの石井輝夫、52番アサヒの田中明両選手である。以後30秒間隔2台づつのスターチング・スタートによつてレースは展開された。全選手27名は続々と第1目標の牧場入り口へと直線コース(2.6km)をばく進、全コース中最も巾員も広く(7〜8m)直線に近い有利なコースだけに、ここですでに競り合いがはげしく演じられている。

 牧場人口からの上り坂はまさに運転技術と車の性能との競り合いである。牧場コースで先頭は前日公式練習で健勝候補と目されたドリームの53 野村有司、57 鈴木義一、61 大村美樹雄の3選手が占め、ついで55 モナークの中島信義、52番アサヒの田中 明がこれを追つて行く。牧場出口からの十字路へ、そして鬼押し出しの屈曲と凸凹の激しい殺人コースはいたるところジャンプ、スリップの難行を展開する。トップは53 野村有司、57 鈴木義一、61 大村美樹雄とドリーム陣がつづき、55 中島信義、52 田中明の両選手の順、ついで65 ドリーム中村武夫、60 DSK杉山義雄選手がこれに迫る。69 ドリーム谷口尚巳、71 ホスク選手は9〜11位にあり、熱戦ほここに於てたけなわである。64 ミシマ白井康夫はミッション故障のため脱落、赤川コーナーより北軽コーナーへのコースでも依然ドリーム陣トップ。

 第2周へと移る。2周目牧場上ではベテラン61 大村美樹雄がトップを切り、ドリーム陣がつづき、各選手とも秘術をつくしてのテクニック戦の展開である。トップと後続の一団との差は3〜4分弱の間隔は順調にさえいけば、優勝はもうドリームのものとの感が深い。十字路より鬼押し出しへの3.4kmにおいてトップは61 大村美樹雄、53 野村有司の差は30秒差に迫っている。53 野村有司のエンジンの調子がやや不調を思わせる。55 中島信義モナークの追込み甚だ急。第2周目最終コースに入つてもしかしドリーム陣の上位は変らない。ついで55 中島信義、69 谷口尚巳、60 杉山義雄、72 ライラック伊藤史朗選手、若冠16才の極めて落ち着いたレースぷりが目についてくる。続いて71 ダークホース杉田和臣、75 DSK井上武蔵の老練組がこれを追う。

 第3周に入るや完勝を思わせたドリーム上位陣の53 野村有司と57 鈴木義一の両選手が、スタート直線コース、ピット付近で一瞬接触を思わせる事態が起きた。しかし野村選手は直ちに立ち直ってレースを継続。ステアリング廻りの不調が目立ち、前進に一抹の不安を思わせる牧場上で。牧機上で57 鈴木義一遂に脱落、ドリームの一角ここに潰えた。61 大村美樹雄、55 中島信義、53 野村有司、69 谷口尚巳、60 杉山義雄、72 伊藤史朗、76 ポインター田村三男、75 井上武蔵とこれに続く、75 井上武蔵のリヤークッション右側が転倒の際破損、サンヨー(車番不確認)のエキゾーストパイプがはずれたまま走行しているのがみられる。この頃から選手の疲労も見え始め転倒車が続出する。53野村のエンジン不調、鬼押出しコースの悪路ではジャンプのテクニツクはエンジンの調子に反影しここでは相当いづれも苦闘の状態である。赤川コーナーへは61 大村美樹雄、1分差で53 野村有司、3分差で555 中島信義、10秒差で69番谷口尚巳、2分差で60番杉山義雄、5秒差72 伊藤史朗、1分差で76 田村三男が通過。いよいよ各車の猛烈なスリルに富む追込み戦が展開された。第4周、本部前北軽コーナーに於て75 井上武蔵のリヤークッションはついに飛び走行不能かと思わせたが、同選手の偉大なファイトによつてなおレース続行、76 田村三男選手周回終了と勘違いして危くゴールに入りかけたが、よく立ち直って4周直線コースヘ。

ドリーム優勝に恵まれず

 4周目の牧場上の通過順位は61 大村美樹雄依然トップ、55 中島信義、53 野村有司、60 杉山義雄、72 伊藤史朗、76 田村三男の順、53 野村は前タイヤパンクのためサドルより後方に乗りかえ重心を後部にして苦心の走行、スピード感は全然ない。それでも投げようとしない敢闘ぶりである。牧場出口で転倒した61 大村美樹雄は鬼押出しまでハンドル故障によりバランスを失いつつ力闘してきたが、コーナーを30米下つたところで遂にチエン切れのため脱落した。ここでドリームは勝ち運に見放された感がいよいよ強まる。この本命61 大村の棄権によつてトップは好調の55 モナーク中島に変つたが、ついで69 谷口尚巳が1分差、72伊藤、60 杉山が2分弱差、76田村が5秒差、75井上がよく敢闘して2分弱差でこれに続く。このあたりですでに1周おくれの車も出て、トップとの差は如何ともなしがたい。

 いよいよ最終第5周に入るや満身創痍を思わせるレーシングと、選手の疲労漸く深くみられるが、なお完走を目指しての力闘に、観衆は声援を惜しまない。牧場上における順位も55 中島、69 谷口、72伊藤、60 杉山、76田村とつづき、65 ドリーム中村武夫の追い込みが注目された、赤川コーナーは55 中島、2分弱差で69 谷口、5秒差で72伊藤、1分差で60 杉山、30秒差で76田村とつづき10分弱の差を開いて65 中村、68 サンヨー高谷常雄、63 ツバサ久保川栄造の各選手がこれを追う。快調を思わせるモノは55 中島のモナーク、72伊藤のライラックの他僅かに過ぎない。最終コースの追い込みもついにこの順位を変えずなだれを打ってゴールへ突進して行った。

 ゴールに入つた選手は殆んど疲労甚だしくレースが如何に悪戦苦闘であったかが窺われたが、69 谷口選手のみは比較的元気旺盛、なお余力をのこしていた。かくて出走27台のうち完走せるもの12車、タイム算定の結果順位は次の如く本部から発表され、新鋭16才、東京の伊藤史朗ライラックに栄冠は輝やいた。

表右欄の「分・秒」は前との差を示す
表左欄の「最終順位」はレース後の車両検査終了後発表された最終順位
250cc(19.2km×5周)
最終順位 順位 車番 ライダー名 年齢 メーカー名 . 順位 車番 ライダー名 年齢 メーカー名
1 1 72 伊藤史朗 16 ライラック . 0 56 杉田清蔵 32 ホスク
2 2 69 谷口尚巳 19 ホンダ . 5 57 鈴木義一 24 ホンダ
3 3 76 田村三男 23 ポインター . 10 58 前川開逸 49 サンヨー
4 4 55 中島信義 23 モナーク 1 18 59 伴野 栄 34 ライラック
. 5 60 杉山義雄 22 DSK 2 31 61 大村美樹雄 23 ホンダ
5 6 65 中村武夫 24 ホンダ 7 48 62 桑原政吉 20 ポインター
. 7 70 大野英夫 24 モナーク . 55 64 白井康夫 19 ミシマ
. 8 73 小沢正男 24 パール . 23 66 福沢照夫 21 ライラック
. 9 63 久保川栄造 . ツバサ . 21 67 星野幸男 20 アサヒ
. 10 53 野村有司 21 ホンダ 3 4 71 杉田和臣 30 ホスク
. 11 75 井上武蔵 35 DSK 20 33 74 青山 明 . ツバサ
. 12 68 高谷常雄 37 サンヨー . 43 77 平田茂祐 32 サンヨー
. 51 石井輝夫 22 ミシマ 78 栗田 政 36 クルーザー


ヤマハの圧勝(125cc)

 午前のライトウエイト250cc戦の熱戦にその興奮まださめやらぬうちに、レース開始をつげる花火は高原の空高く打ちあげられた。午後1時30分、ウルトラ・ライト・ウエイト125cc 4周のレースが、これも30秒間隔2車同時発走のスタートによつて開始された。

 スタートは軽量車であるだけに、3番野口種晴選手を始めとして片足で地をけつて車を押し出す気合のかかつた選手がスタートもよかつた。

 第1直線コースは早くもトップのせり合いが激しく演じられている。牧場入口の上り坂も全車好調で大接戦、牧場上に2番コレダ鈴木英夫、104ベンリイ高橋邦義、3番ヤマハ野口種晴、1番メグロレジナの井上薫壱、6番ベビーライラック幸田武夫、109番ベンリイ野村有司の各選手が砂塵をまいてトップあらそい、名車輪まさにふれんばかりのはげしさである。下り坂から十字路にかけてがぜん公式練習での優賞候補3野口種晴がトップを奪い、2番鈴木、104番高橋とこれを追い、ついで11番のヤマハ小長谷茂、8番コレダ山下林作の2選手が肉迫する。
 この牧場下り坂2.4kmの大接戦は砂塵もうもうとして、ために後続車は前方の視界がきかずスタート順位のおそい不利な条件を克服するために、相当苦労している。十字路から鬼押出しのコースは凸凹はげしく、超軽量クラスにとつてはまさに鬼門である。ここでほジャンプの続出でヤマハの如きは6〜7mもジャンプするのもみられた。さらに赤川から北軽コーナーヘの接戦は溢々激烈である。

 第2周目に入るや先頭の3野口と104高橋の差1分、ついで2鈴木、11番小長谷、8番歴戦の勇士山下コレダ、14番ベンリイ鈴木淳三と通過、直線コースでは27パール山下護祐選手をはじめ転倒中が続出。牧場の上り坂での力戦はエンジンの強いものがその本領を発揮してぐんぐん上つてくる。牧場内の順位は変らない。3野口と104高橋の差約1分、19ヤマハ日吉昇選手の追い込み甚だ急で、7位に進出、先頭との差は4分、下り坂より十字路鬼押出へとうつるころには3野口、104高橋、11小長谷がつづく。この頃からベンリイ104高橋のエンジン排気音に不連続音がしきりに聞かれ、やや不調が感じられる。

ヤマハ選手の奮起

 第3周に入るやトップは依然として3野口、104高橋、11小長谷とつづき、3野口と104高橋の差約3分。13コレダ伊藤利一選手、北軽コーナー本部前でエンジンストップ、上り坂にかかっているので車を一たん平地におろし、キックの上再出走しようとしたが、逆行禁止の規定によって失格な宣せられ無念の除外。直線コースの終わり頃トップを力走していた3野口種晴がエンジンストップで急停止、ついに棄権。野口選手は後続のヤマハ選手に後事を托す手信号をすれば、11小長谷、19日吉、15岡田輝夫、23 望月修が”大丈夫だ、まかしてくれ!”といづれもうなづいて一段とピッチをあげて通過して行く劇的なレースが展開する。本部前では本命の3野口まだ来たらずの報に前レースの大村美樹雄選手の落伍にもまして安否をきづかっている。

 牧場通過順位はヤマハ3野口にかわって104高橋、11小長谷(30秒差)14鈴木淳三、2鈴木英夫2分弱差19日吉(15秒差)とつづいたが下り坂より十字路に入るや104高橋、11小長谷、19日吉、2鈴木英夫、8 山下林作、15 ヤマハ岡田輝夫とつづきリーダー脱落によつて奮闘目ざましいヤマハ各選手の追い込みが注目される。

 愈々第4周最終コースである。俄然ホームストレッチで11小長谷が104高橋を抜いてトップに立ち、104番高橋、19日吉、2鈴木英夫、8山下、15岡田、18コレダの神谷敏夫、23ヤマハ望月修の各選手がこれを追う。特に23望月の確実なペースが注目される。牧場内での順位もこれをかえず1位と2位は30秒差、十字路付近から104高橋のエンジン益々不調、ゴールを危ぶまれややスピードが落ちるや、後続車は続々これを追い抜く。104高橋不調のほか変化なく赤川コーナーをすぎ、11ヤマハ小長谷茂、19ヤマハ日吉昇、2コレダ鈴木英夫、8コレダ山下林作、15ヤマハ岡田輝夫、23ヤマハ望月修、18コレダ神谷敏夫と、2ザイクル陣営が先着の志気軒昂、グリップ1杯ふかして爆音高くゴールに飛びこむ。104 高橋邦義選手のベンリイは遂にエンジンストップ、赤川コーナーから約2.5kmを体力の続く限りと押してレースを続ける。本部のマイクは選手に手をふれぬ様との放送の中を、ガンバレ!ベンリイ!と観衆から激励をうけて悲壮、歯をかみしめて見事ゴールイン、遂にこん倒した。その敢闘をたたえて拍手は暫し鳴りやまなかつた。順位は別項の如くである。

表右欄の「分・秒」は前との差を示す
表左欄の「最終順位」はレース後の車両検査終了後発表された最終順位
125cc(19.2km×4周)
最終順位 順位 車番 ライダー名 年齢 メーカー名 . 順位 車番 ライダー名 年齢 メーカー名
1 1 19 日吉 昇 26 ヤマハ . 0 15 16 川井 努 22 ベビーライラック 1 33
2 2 11 小長谷茂 30 ヤマハ . 17 16 17 谷沢喜八 37 ミシマ . 16
3 3 23 望月 修 24 ヤマハ 5 26 17 24 市野三千雄 20 スズキ 2 52
. 4 15 岡田輝夫 24 ヤマハ . 43 18 27 山下護祐 16 パール 2 11
4 5 8 山下林作 30 スズキ . 45 19 21 小野昌俊 24 昌 和 5 0
. 6 2 鈴木英夫 19 スズキ . 26 20 14 鈴木淳三 24 ホンダ 1 43
. 7 18 神谷敏夫 20 スズキ . 2 21 25 福田貞夫 20 ホンダ 6 58
. 8 6 幸田武夫 23 ベビーライラック 5 11 22 22 切道広光 19 ベビーライラック 1 35
. 9 20 諏訪部昌志 21 ホンダ 1 1 23 10 豊田 弘 27 ミシマ 4 56
. 10 30 宇田勝俊 23 ホンダ 4 1 3 野口種晴 22 ヤマハ
. 11 28 山橋国雄 34 ミシマ . 58 109 野村有司 21 ホンダ
. 12 29 原田金市 19 ベビーライラック 1 0 12 内田末造 22 メグロ
. 13 1 井上薫壱 37 メグロ . 22 13 伊藤利一 23 スズキ
. 14 104 高橋邦義 27 ホンダ . 51 26 高原 勇 27 メグロ

重量車 豪華レース展開

 350cc ジュニア  ホンダドリーム 優勝
 500cc セニア   ホンダドリーム 優勝


 あくれば11月6日、月曜日とあって浅間高原は前日にまして続々と観衆が集まってくる。スタート、ゴール付近、牧場展望台、十字路、赤川の指定観覧席その他を合わせて1万近いと思われる観戦者の中には自ら愛車を駆って近県や東京から駆けつける者も多く、外車、国産車があちこちに置かれてまさにモーター・サイクル・ショウさながらである。中には外人のマニアも2・3見られた。きょうも昨日にます好天気に恵まれた。

 定刻午前9時55分、7周のセニアウェイト500ccからスタートが行われ、続いて350ccジュニアウェイトと続いたが、これも2車同時発走30秒間隔のスターチング・スタートである。

 スタートラインに並ぶ27台から発する爆音は、まさに浅間山の大噴火もかくやと思わせる豪快さ、はやくも観衆の血を湧きたせてレース気分は横溢している。

 選手もレーシングも、はやりにはやつてスタート合図前にすべり出して、スタトートラインに引っ込める間にスタート合図となつて、そのタイミングをはずされ、あわててダッシュするものも多い。このため51宮迫繁幸メグロは大分おくれて損をする。DSK500cc両車55 井上武蔵、64 杉山義雄はいづれも見事なスタートぶりは範とするに足るものがあつた。

 第一コース牧場入り口への直線は正に本レース中の最もスピード感ある場面で、52 ドリーム鈴木淳三、54 メグロ太田 譲、56 キャブトン立原義次とつづく。牧場入り口付近における追い込みも、上り坂への闘いもまさに豪壮そのもの、52番鈴木淳三、51 メグロ宮迫繁幸、54 メグロ太田譲とつづき、牧場内4km、下り坂2.4kmを経て十字路へ52鈴木淳三トップ、54太田20秒差、51宮迫15秒差で、58ドリーム野村有司さらに20秒差でこれを追う。

 第2周に入るや、52鈴木淳三、54 太田、58野村と接戦、この回すでにピットには2 平田親朗. 陸王タイヤのエヤー補給のために入る。牧場入口では52鈴木淳三と54 太田の差は5秒となり、牧場下りから十字路ではトップ争いも変らず依然としてその差5秒位、58野村、牧場内でエンジン不調のため苦戦、変つて55 井上武蔵 DSK、61 杉田和臣 ホスクが約40秒差でこれを追う。この頃からジュニア350ccクラスの先頭車申7ドリームの大村美樹雄、5同じく佐藤市郎の各選手が、続々とセニアクラスを追い越し、セニアクラスのトップ車との間隔をぐんぐんとつめて行く。
 2周の終りで61杉田和臣のマフラー、転倒のため外れ、ピットに入る。間もなく整備の上レース続行。

 3周目に入るや8 武田 実 陸王ピットに入り、ハンドル止めねじのガタを整備の上5分位費消する。64 DSK杉山義雄もステップがゆるんでチェンジのセコドがきかずピツト、に入る。3分後再発走。
 悪路に挑む各車の苦戦おして知るべしである。牧場入口から十字路へのコース依然としてトップは52鈴木淳三と54太田譲が20秒差で先行、ついで55井上武蔵と61杉田和臣がこれにつづく。350ccクラスの7大村美樹雄、5佐藤市郎が3分差でこれに迫る。
 十字路から鬼押出しのコースで61杉田和臣脱落。

 4周に入るや10エーブスター竹内正彦チェーン切れのため2km近く車をおしてピットに入る。相当疲労の色が濃い。5分後に再発走したがステアリングのおさへに一抹の不安がある。牧場入口に於ても依然トップ52鈴木40秒差で54太田、さらにこれに40秒で55井上がつづき、382ccの7大村、早くもこれに迫ってピッチをあげて飛んでくる。
 牧場内で54太田エンストのため無念の脱落、トップは52ドリーム鈴木、55井上が1分差でこれな追い、382ccのドリーム7大村が快調の爆音をとどろかして迫つてくる。5佐藤、109ドリーム中村武夫、11同じく鈴木義一と、このところドリーム350cc陣が続々快調のうちに爆走してくるのは、見事なものである。

7番大村美樹雄ドリームトップに立つ

 5周に入るや正に500cc、350cc車の大混戦である。牧場入口では52鈴木淳三に、7の大村が10砂差で迫り、55井上、5佐藤、11鈴木義一ドリーム、109昌和マリン350ccの渡辺兼吉がいづれも10〜20秒差で猛烈なせり合いとなり、観衆の興奮、声援は爆音とともにまさに高原を圧するばかりである。
 鬼押出し附近及び赤川のジャンプ場における状態はスピードアップされたため益々苛烈となり、DSK、キヤブトンなどウエストのある車は比較的ジャンプが少ないが、他は壮烈を極める、スリップも多く転倒続出する。

 6周に入るや7大村誤つて本部前芝生に突込み、再び車首を立直して一路直線コースヘ驀進して、みごとここでトップを奪う。250ccレースでの惜敗を挽回せんとする気迫まことに物凄い。十字路では7大村、52鈴木淳三の差は1分つづいて5佐藤が1.5分差、11鈴木義一がこれに続く。

 いよいよ最終回コースヘの驀進である。観衆もまたこの豪壮なレースに、樹上からの熱心な声援も見られる。各メーカーのコーチは英国TTレース流に、+(加速せよ)−(スピードをおとせ)や、スピード出せ、スピードおとせの標識で選手に秘策をあたえて激励する。
 最終回7周に入るや、1、2周おくれの各車も入り交つての追いつ追われつの混戦、激戦が各所におこる。
 牧場入口7大村美樹雄、52鈴木淳三との差的1分強、3位5佐藤市郎との差3分余、ついで11鈴木義一、109中村武夫、55井上武蔵とこれに挑戦、十字路に於て7大村と52鈴木淳三は2分差となる。鬼押出しから赤川への最終コースに入るや11鈴木義一ドリームバッテリーを落して、赤川付近から車申を押してレース続行、すでに7ドリーム大村美樹雄、52番ドリーム鈴木淳三、5番ドリーム佐藤市郎、109ドリーム中村武夫の何れもホンダ陣営はゴールイン。ついで350cc、500cの完定車が続々ゴールイン。11の鈴木義一、56のキャブトン立原義次ともに車を押して敢闘のゴールイン。レースも無事終了を思わせたが、牧場下りのコースに於て突然コース係によつて黄の事故標示旗があげられた。10竹内正彦の転倒負傷が伝えられ、本レース唯一の大事故となったのは残念なことであつた。レース終了10分前である。

 かくて350ccが500ccを圧する豪華なレースが終了、高原には一時爆音も消えて晩秋の静けさにかえったが、参会者は本部前に集合、レース終了を告げる万歳の声が感激裡に三唱された。

 各5位迄の入着車両はいづれもも規定に従つて封印の上、東京に於ける車両検査に持ち込まれたがその結果一部外国部品使用で折角の入着も取り消しとなるものもあつた。

表右欄の「分・秒」は前との差を示す
表左欄の「最終順位」はレース後の車両検査終了後発表された最終順位
350cc(19.2km×7周) . 500cc(19.2km×7周)
最終順位 順位 車番 ライダー名 年齢 メーカー名 最終順位 順位 車番 ライダー名 年齢 メーカー名
1 1 7 大村美樹雄 23 ホンダ . 0 1 1 52 鈴木淳三 24 ホンダ(382CC) . 0
2 2 5 佐藤市郎 26 ホンダ 3 43 . 2 55 井上武蔵 35 DSK 2 45
3 3 109 中村武夫 24 ホンダ . 11 . 3 64 杉山義雄 22 DSK 5 4
4 4 2 平田親朗 . 陸王 18 14 . 4 60 松川 実 19 メグロ 3 13
5 5 11 鈴木義一 24 ホンダ 1 20 2 5 62 金田鍛治 . キャブトン . 4
. 6 3 直井源久 32 エーブスター . 55 3 6 53 鷲見敬一 . キャブトン . 33
. 7 6 鈴木栄一 . キャブトン 13 52 4 7 56 立原義次 30 キャブトン 6 49
. 8 1 永井重男 . キャブトン 6 50 . 8 58 野村有司 21 ホンダ(382CC) 8 44
. 9 8 武田 実 30 陸王 2 37 . 51 宮迫繁幸 24 メグロ
. 104 渡辺兼吉 . マリーン . 54 太田 譲 26 メグロ
. 10 竹内正彦 19 エーブスター . 57 水谷文雄 32 メグロ
. 12 長谷川 弘 21 マリーン . 61 杉田和臣 30 ホスク
.... . 63 田代勝弘 31 メグロ
. 65 稲垣国光 . キャブトン

晴れの表彰式

 日本モーターサイクルレース協会では11月16日午後2時15分から、第1回浅間高原レースにおける入賞メーカー、個人、部品各般に亘る表彰式を行った。同日はレース場より東京へ封印の上持参した入賞各車両の検査結果につき、宮田審判長より成績発表と同時報告があり、正式確定の成績が発表された。


優勝選手は語る

125cc級優勝 日吉昇選手 26才(ヤマハ)

 『別に作戦などはありませんでした。まあベストを尽くしたまでです。ただ残念なのは同僚の野口種晴君が不幸にして入賞を逸したということなんです。野口君も一緒に入賞できたらもっと嬉しいんですが・・・。コースは何回も練習してその状態は判っているんですが、何処で出して何処でしぼるなんて考えていてもいざ走り出すともう夢中でした。ただ車を信じて全力で走ったんです。あのコース状態は良くないですね。でも浅間山麓の非常に環境の良い所ですから、今後このコースがもっと整備されればロードレース場としては起伏もあって好適地だと思います。初めての耐久ロードレースとしてはいろいろ問題もあるでしょうがタイムが公表されないということは一寸寂しいです。』

250cc級優勝 伊藤史朗選手 16才(ライラック)

 午前中にレースの済んだ伊藤史朗選手は、午後はコース中最も眺望絶佳である牧場の枯れ草に寝ころんで空を眺めていたという。夜、千ケ滝の宿舎に同選手を訪ねると、『ただもう夢中で走っただけです。別に言うこともないです。』と謙遜の辞。尤もこの喜びは言葉に現すことの出来ない程大きなものかも知れない。

350cc級優勝 大村美樹雄選手 23才(ドリーム)

 『予定のペースで走りました。昨日の250ccで失敗したので今日は慎重にやりました。350ccはうちの4台いづれかは入るだろうと思っていました。1周から7周まで殆どタイムの差はなかったと思っています。とにかく1番に入れてこんな嬉しいことはありません。』

500cc級優勝 鈴木淳三選手 24才(ドリーム)

 500ccレースの結果、鈴木淳三選手が一着に入賞したが、この500cc級と350cc級の出発時間は間をとらず引き続き500ccに次いで350ccが出走したので、350ccと500ccとの入着が前後したりして興味を添え、500cc級の一着である鈴木選手の場合は後から出走した同僚の350cc級大村美樹雄選手に先を越されて入着するという痛し痒しの表情だったが、いずれにせよ500cc級と350cc級混みで先着4車がドリームばかりなのでお互いに健闘を祝し合っていた。
 鈴木淳三選手談:『まあ僕としては予定通りの走行です。でも昨日125cc級で一寸失敗しているので一応慎重に走りました。まあみんな同僚が入ってくれて嬉しいです。』


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