1957年12月号「モーターサイクリスト」誌の記事より

               特集 第2回浅間火山レース


                                
各レースとも激戦に湧く

                               
ウルトラ級・ライト級はヤマハ完勝

                       ジュニア級ドリーム、セニア級メグロ勝つ

 全国ファン待望の全日本モーターサイクルレース協会主催、第2回浅間火山レースは、1957年10月19、20の両日、浅間高原に新設された1周9.351kmのコースで行われた。
 第1日目の19日は、浅間火山のおおらかな山容をくつきりえがいた紺青の大空に、噴煙かとまごう白雲が静かに浮び、この処女コースに栄冠をきそう晴れの出場レーサーを祝福するような、近来まれにみる快晴に恵まれた。
 早朝、朝霜をふんで参集した一般観衆や、レース関係者によつて、高原一帯はエンジンの爆音につつまれ、早くも大会気分を高めている。
 午前8時40分開会を宣する花火が中天にとどろき、1万5千の大観衆の拍手のうちに、荘重な君が代が奏楽され、国旗が掲揚される。
 ついで第1回浅間レースのチーム優勝者ホンダ(ウルトラライト及びジュニア級)、モナーク(ライト級)、キヤブトン(セニア級)各代表から優勝トロフィーの返還が行われ、やがて高松宮総裁殿下の祝辞が竹崎日小工理事長によつて代読され、選手代表の宣誓が行われたころから、場内はますますレースヘの興奮にざわめく。
 開会式を終えて第1レース(ウルトラライト級)に出場の選手は直ちに車両置場にかけつけ、主催者支給のオクタン価83シェル・スーパーガソリンをタンクにみたし、僚友によつて整備も終え、 まさに決戦にのぞむ愛単にまたがる。やがて先導車に従つて28車がコースに入れば、期せずして全会場からの拍手の嵐がまきおこり、激励の声援が飛んでくる。
 この間レース場には刻々と迫るスタートをつげる5分前、3分前のアナウンスに、もう2万をこすと思われる観衆はその一瞬の興奮に酔い、一時の静けさにかへつている。
 10時10分、スターターの手旗は打ちおろされ出走をつげる花火が2発打ちあげられた。

                                   
《レース経過》

 第1レース ウルトラライト級(125cc)28台参加

1周9・351kmコース、14周112・312km(スタートとゴール間の最周回100m加算)

車番 ライダー名 メーカー名 . 車番 ライダー名 メーカー名 . 車番 ライダー名 メーカー名 . 車番 ライダー名 メーカー名 . 車番 ライダー名 メーカー名
21 大石秀夫 ヤマハ 22 花沢 昭 トーハツ 14 松田 明 オートビット 11 中島信義 タ ス 7 白井康夫 タ ス
2 宮代正一 ヤマハ 104 鈴木伸義 トーハツ 18 平賀陸一 トーハツ 19 壬生輝男 ヤマハ 109 鈴木淳三 ホンダ
28 水沼正二 ホンダ 10 泉川明治 トーハツ 13 小玉繁雄 クルーザー 6 長岡 勝 オートビット 12 大橋幸次郎 ライラック
3 宇田勝俊 ホンダ 27 山下護祐 クルーザー 23 渡辺健吉 クルーザー 8 望月 修 ヤマハ 15 村松年近 ライラック
20 松野 弘 ヤマハ 25 夲木 実 クルーザー 1 今田俊彦 クルーザー 5 伊藤 実 ライラック .
26 福田貞夫 ホンダ 16 有川有司 トーハツ 17 島崎貞夫 ホンダ 24 松本吉政 ライラック .

〔第1周〕
午前10時10分本大会第1戦を飾る晴れのトップスタートは1、2、3、104、5、6、7番、これについで30秒間隔で7車ずつ第4走車陣の各レーサーとも一丸となつてホームストレッチを疾走して行く。
 第2走車陣の12番、第3走車陣の15番はいずれも始動できずに早くも棄権。50R地点で7番エンスト棄権。5K地点にかかる頃には2、3、8、109番の順で通過。ヘアビンコーナーから8.9K地点で、第1走車陣から1分おくれでスタートした第3走車陣の21番が、前走車をぐんぐん抜いてトップグループの1団に食い込む。19、17、20、18、26、28番の第3、4走車陣の追い込みも目ざましい。
 8.9K地点で26番アウトコーナーよりインコーナーにつっこんだ瞬間、28番(ともにペンリイ)に接触し両車転倒したが、直ちに再乗してレース続行。やがて審判台前を、2、3、8、109、21、104、1、19、10の順で通過。

〔第2周〕
間もなく1番不調、50R地点までに19、17、20に交される。5K地点では、109番が8番を交して3位についたと思うまもなく、突然エンスト、棄権。第1回浅間レースセニア級のチャンピオン鈴木淳三選手である。19、17、20番ともに好調で104、10番の両車を50R地点で交す。28、26番ともに6、18、1番を抜き、ヘアーピンコーナーから8.9K地点では10番をも抜きトップグループに迫る。
 審判台前を2、3、21、8、19、20、17、104、28、26の順で通過。しかし104番の不調が目立つ。

〔第3周〕
ホームストレッチで4位の8番プラグがえで停止その間に19、20、17、28、26番などに抜かれ18位におちる。0.1K地点で24番エンスト棄権。18番50R地点前で転倒、後続の16番(ともにトーハツ)これを交しきれずに転倒し、ハンドルを折損したが再び片ハンドルのままレース続行、18番有賀陸一選手一時人事不省に陥り、医療班がかけつけたがまもなく快復するや直ちに転倒車を引き起して再乗。19番回転あがらず5k地点で20、17番に抜かれる。5番この地点で穴に入り転倒、ライダー負傷のため乗権。
 2、3、21、20、17、19、28、10の順で審判台前を通過。

〔第4周〕
5k地点で6位の19番が7位の28番に交された程度で波瀾なく進行。

〔第5周〕
50R地点にかかるまで10番回転あがらずもたつき104、22、26、6番に交される。第3周でプラグ替えるの8番50R地点でエンスト、本命と目されたヤマハの望月修選手はここでついに棄権。6番9k地点でエンスト、棄権。審判台前を2、3、21、20、17、28、19の順で通過。

〔第6周〕
7位の19番エンスト、ダークホースヤマハの壬生輝男選手ここで棄権。50R地点で9位の26番は8位の104番を抜き、19番の脱落で7位に喰いこむ。この周まで2位を保つていた3番(ペンリイ)が21番(ヤマハ)に9K地点でうまく交されて3位に落ちる。
 2、21、3、20、17、28、26番の順で審判台前通過。

〔第7周〕
いよいよ後半戦の追い込みに入る。22番50R地点で104番を交して8位に食い込む。ヘアピンコーナーから9k地点、審判台前のコースで、21、3番接戦2位あらそいを演じたが21番強く、審判台前を2、21、3の順位変らず通過。

〔第8周〕
ラストグループの11番ヘアピンコーナーあたりでエンスト棄権したほか、上位順に変化なく進行。

〔第9周〕
5位を走つていた17番ベンリイ50R地点でエンスト棄権。ラストを走つていた1番もこの地点でエンスト、棄権。

〔第10周〕
トップを確保する2番と21番のハーフフェアリングをつけたヤマハ陣順調。これを追う3番ベンリイをぐつとおさえて割り込む余地を与えない。21番の一番時計はもう動かぬとみてかこのあたりからスピードをセーブしているようだ。第4走行陣でトップグループ5位に割り込んでいる28番ベンリイ6位の26番ベンリイともに好タイム。

〔第11周〕
2、21、3、20、28、26のトップクラス順調。波瀾なくいよいよラストラップに突進する。

〔第12周〕
トップの2、21番好調くずれず後続車をよせつけない。ヘアピン、8.9kからゴールまでに、ラストスパート物凄い28ベンりイ22番トーハツが20、番ヤマハ26番ベンリイの調子みだれに乗じて抜きつ抜かれつの接戦を演ずる。この間にトップ2番、21番のヤマハはゴール。しばし観衆の拍手なりやまねうちに、接戦をふりきつて3番ベンリイ、28番ヤマハ、26番ベンリイが続々とゴールイン。22、104、10のトーハツ陣、27、25番のライトクルーザー、さらに16、14、18、13、23番が完走の感激裡にゴールイン。やがて本部からタイムの発表があり、ウルトラライト・チャンピオンは、21番ヤマハの新人大石秀夫選手と報じらる。

クラス 順位 車番 ライダー名 メーカー名 年齢 レースタイム 平均時速 Best Lap
(Km/H)
125cc 1 21 大石秀夫 ヤマハ 54×54 21 1 16 55 87.5 6.16
2 2 宮代正一 ヤマハ 54×54 35 1 17 21 86.9 6.18
3 28 水沼正二 ホンダ 24 1 18 42 85.6 6.25
4 3 宇田勝俊 ホンダ 25 1 19 4 85.2 6.3
5 20 松野 弘 ヤマハ 56×50 24 1 19 12 84.9 6.25
6 26 福田貞夫 ホンダ 22 1 22 21 81.7 6.29
7 22 花沢 昭 トーハツ 25 1 24 52 79.3 6.58
8 104 鈴木伸義 トーハツ 21 1 27 39 76.8 7.09
9 10 泉川明治 トーハツ 23 1 29 22 75.3 7.07
10 27 山下護祐 クルーザー 16 1 32 4 73.1 7.13
11 25 夲木 実 クルーザー 22 1 33 49 71.9 7.33
12 16 有川有司 トーハツ 22 1 37 19 69.2 7.00
13 14 松田 明 オートビット . 1 38 29 68.4 7.56
14 18 平賀陸一 トーハツ 31 1 39 58 67.3 7.08
15 13 小玉繁雄 クルーザー 24 1 42 39 65.5 7.32
16 23 渡辺健吉 クルーザー 29 1 42 49 65.4 7.28
1 今田俊彦 クルーザー 22 9周目棄権. 7.49
17 島崎貞夫 ホンダ 22 9周目棄権 6.28
11 中島信義 タ ス 26 8周目棄権 10.57
19 壬生輝男 ヤマハ 19 6周目棄権 6.41
6 長岡 勝 オートビット 24 5周目棄権 7.23
8 望月 修 ヤマハ 26 5周目棄権 6.42
5 伊藤 実 ライラック 19 3周目棄権 8.31
24 松本吉政 ライラック 21 3周目棄権 7.35
7 白井康夫 タ ス . スタートで棄権
109 鈴木淳三 ホンダ 26
12 大橋幸次郎 ライラック 21
15 村松年近 ライラック .


 
第2レース ライト級(250cc)25台参加

1周9・351kmコース14周131・014km(スタートとゴール間の最周回100m加算)

車番 ライダー名 メーカー名 . 車番 ライダー名 メーカー名 . 車番 ライダー名 メーカー名 . 車番 ライダー名 メーカー名 . 車番 ライダー名 メーカー名
75 益子 治 ヤマハ 70 谷口尚巳 ホンダ 57 渡辺 将 ポインタ− 52 内田米造 メグロ 53 中田義信 ポインタ−
65 砂子義一 ヤマハ 51 鈴木義一 ホンダ 67 伊藤 実 ライラック 56 長谷川弘 クルーザー 54 野口種晴 ヤマハ
66 下良陸夫 ヤマハ 63 大岳 実 クルーザー 59 鈴木淳三 ホンダ 64 大橋幸次郎 ライラック 62 桝田竹志 ライラック
74 加藤正男 ホンダ 61 室 次男 メグロ 60 伊藤史郎 ヤマハ 71 井上 保 メグロ 68 中島信義 クルーザー
72 秋山邦彦 ホンダ 58 渡辺健吉 クルーザー 73 立原義治 ホスク 55 大石享一 ライラック 69 今田俊彦 クルーザー

(第1周)
本大会のメイン・イベント、250ccライトクラスレースは、午前の第1レースにまだ興奮さめやらぬ大観衆注目のうちに、午後2時10分スタートを切つた。
 54、62、69番スタート不能のため棄権。54番ヤマハ野口種晴選手は本命と目されていただけに、その脱落によつてレースの予想は早くも混頓となる。
 第4走車陣の75、74、72のダッシュ物凄く、前走車をぐんぐん抜いて行く。55番50R地点で転倒したが再走行。68番5K地点で転倒棄権。ヘアーピン近くでは53番エンスト棄権。第2走車陣の60番は9K地点で51番のトップについで早くも2位に食い込む。審判台前を59、60、52、50、59、58、65の順で通過、この周で5車すでに脱落。

(第2周)
トップの51番50R地点で回転あがらずもたつく間に、60番トップに立つ。つづいて56、52、59、65、58番などに交されて12位に落ちる。第4走車陣の75、72、74番が一団となつてトップクラスに肉迫して行く。
 60、56、52、65、59、66、75がいずれも好調の爆音を残して審判台前を通過。ラストの55番不調一周おくれる。

(第3周)
トップの60番ヤマハ、スピード物凄く独走の感。これに56番クルーザー食いさがる。65番が5K地点で52番を交して3位に立つ。66、75番がまたたく間に59番を抜いて5、6位に食い込む。トップ60番ヤマハ伊藤史郎選手は第1回浅間レースのチャンピオン、今回も記録を目ざしての猛スピードで断然他をはなす。
 60、56、65、52、66、75、59の順でスタート線を通過。

(第4周)
第3位を走つていた65番50R地点で56番を抜いて第2位に着く、またこの地点で6位を走る75番が66、52番と抜いて第4位をとる。70番は58番を交し10位に立ち、16位の63番5K地点で71番を、8.9K地点ではさらに57番を抜いて14位に入る。55番スタート前でエンスト棄権。
 60、65、56、75、66、52の順でスタート線を通過。

(第5周)
11位を走つていた51番再び不調、58、61、63番などに抜かれて16位におちる。9位の74番ヘアピンコーナー附近で72、59な抜いて7位に食い込む。
 トップグループの順位動かずスタート線を通過。

(第6周)
トップグループとラストグループの差は大きく、もう1、2周おくれのものもある。しかしいずれも完走を目ざしての敢闘。5K地点で71番エンスト棄権。ヘアーピンでは75番ヤマハが56番クルーザーを交して3位に、74番ドリームが52番メグロを交して6位となる。ホームストレツチを60、65、75、56、66、74、52番の順で通過。

(第7周)
せん風のようにトップで快走を続けていた60番が、50R附近からぐんと回転が落ち、たちまち後続車に抜かれて14位に落ちる。4位の56番クルーザー50R地点でエンスト棄権。ヘアーピンで52番メグロエンスト棄権。この周から60番にかわつた65番がトップ、つづいて75、66、74、72、59、70とスター下線を通過する。

(第8周)
65、75、66番のヤマハ陣営ここでガッチリスクラムを組む、これを追う74、72、59、70番のドリーム陣。ヤマハ、ドリームの白熱したレースの様相な濃くしてくる。
 59番ドリームのエース鈴水淳三選手へヤピン附近でエンスト、ヤマハを追うドリーム陣の一角がくずれる。70番が6位につく。第7周からもたつき14位を走つていた60番、ついにこの周5K附近でエンスト棄権。
 65、75、66番のヤマハ、74、72、70番ドリームの順位動かザスタトトラインを通過。

(第9周)
トップグループの順位微動もせず。10位の61番5K地点で58番を交す。1周おくれの57番、3周おくれの67番ともにエンストで脱落、参加車25台も、この周快調で疾走するのはわずかに10台。

(第10周)8位の51番が63番を5K地点で交し7位になる。 65、75、66、74、72、70、63、51、61、58の順位で第11周になだれ込む。

(第11周)65番と75番が交替でトップ争いのシーソーゲームをみせただけでこの周も順位、変化なく第12周に入る。

(第12、13周)
トップ陣のヤマハ3車調子くずれず、がつちりジェット機のようなスクラム。3位の66番が75、65番を抜いて5K地点でトップに立つたが、75番さらに66、65番を交してトツプに立ち、後続のドリーム陣を偵察しながら余裕あるレースを続ける。74、72、70のドリーム陣ペースをくずさず慎重にこれを追う。9位の61番メグロ5K地点で63、51番を抜いて7位に食い込んだが、すぐ51、63番に交されて13周目に入る。13周順位変らず。

(第14周)
完走を目ざす各車は自己のペースな忠実に守つて慎重。75、65、66番のヤマハ陣まず順調にゴールイン。ついで74、72番のドリーム陣、やや時間をおいて70、51番のドリーム、これに続いて63番クルーザー、61番メグロ、しはらく時間をおいて58番クルーザーがゴールイン。
 やがてレース終了を告げる花火が3発打ちあげられる。
 出場25台、完走僅か10台、激戦のレースは幕を閉じた。
 ライトクラス・チセンピオンは第1着に入つた75番新鋭益子治選手とアナウンスされ、場内ドットどよめく。先走の58番規定時間外のため除外、完走は9台と記録される。

クラス 順位 車番 ライダー名 メーカー名 年齢 レースタイム 平均時速 Best Lap
(Km/H)
250cc 1 75 益子 治 ヤマハ 54×54 20 1 23 26 94.0 5.40
2 65 砂子義一 ヤマハ 56×50 25 1 23 57 93.6 5.43
3 66 下良陸夫 ヤマハ 56×50 25 1 23 59 93.6 5.48
4 74 加藤正男 ホンダ 21 1 24 52 92.7 5.54
5 72 秋山邦彦 ホンダ 22 1 25 39 91.6 5.56
6 70 谷口尚巳 ホンダ 21 1 28 18 89.0 6.09
7 51 鈴木義一 ホンダ 26 1 31 24 85.8 6.11
8 63 大岳 実 クルーザー 23 1 31 40 85.6 6.20
9 61 室 次男 メグロ 27 1 34 39 83.5 6.36
58 渡辺健吉 クルーザー 29 14周目棄権. 6.29
57 渡辺 将 ポインタ− 23 9周目棄権 6.47
67 伊藤 実 ライラック 19 9周目棄権 7.49
59 鈴木淳三 ホンダ 26 8周目棄権 6.10
60 伊藤史郎 ヤマハ 18 8周目棄権 5.39
73 立原義治 ホスク 32 8周目棄権 6.47
52 内田米造 メグロ 23 7周目棄権 6.13
56 長谷川弘 クルーザー 23 7周目棄権 5.57
64 大橋幸次郎 ライラック 21 6周目棄権 7.52
71 井上 保 メグロ 22 6周目棄権 6.34
55 大石享一 ライラック 20 3周目棄権 8.43
53 中田義信 ポインタ− 25 スタートで棄権
54 野口種晴 ヤマハ 24
62 桝田竹志 ライラック 19
68 中島信義 クルーザー 26
69 今田俊彦 クルーザー 22


 
第3レース ジュニア級(350cc)セニア級(500cc)

参加台数ジュニア級8台、セニア級9台

1周9.351kmコース16周149.716km(スタートとゴール間の最周回100m加算)

 大会第2日日の20日は午前10時20分から第3レース(ジュニア、セニア混合戦)が展開された。19、20日の両日にかけて観衆のベ6万5千という予想外の人気で、この日はスタート附近になだれこむ人々の整理に手をやく。

350cc . 500cc
車番 ライダー名 メーカー名 . 車番 ライダー名 メーカー名 車番 ライダー名 メーカー名 . 車番 ライダー名 メーカー名
104 鈴木義一 ホンダ 305 8 杉田清蔵 ホスク 57 杉田和臣 メグロ 52 立原義治 ホスク
2 佐藤市郎 ホンダ 305 3 大石享一 ライラック 54 折懸六三 メグロ 56 佐藤 勇 メグロ
6 谷口尚巳 ホンダ 345 1 桝田竹志 ライラック 55 井上武蔵 ホスク 51 野田恭三 ホスク
7 小沢三郎 ホンダ 345 . 53 関口源一郎 メグロ 58 直井源久 キャブトン
109 佐藤 進 ホンダ 345 . 59 菊地良二 メグロ .

(第1周)
地底の火山の鳴動かとまごうような豪快な爆音は、観衆のはらわたをゆすぶり、高潮する興奮に観衆はしはしば声をのむ。この間に
ジュニアクラス350cc車からスタート。1、3番スタートでもたつく間に、他車は一せいにつむじ風となつてホームストレッチを疾走して行く。50R地点を6、104、2、109の順でドリーム陣がすぎる。3分間隔をおき2時23分第2走車陣でスタートしたセニアクラス500ccがこれを追い上げて、序盤戦から熱戦が展開される。
 セニアクラスは55、54、52、59の順で、50R地点のカーブを一瞬の間に通過。車体を黄色に塗つたメグロ、赤いタンクのドリームが印象的である。
 58番純個人出場のキヤブトン直井源久選手、2K地点でハンドル折れのため早くも棄権。3番調子が出ず必死の点検ののち発走。その間にジュニアクラスのトップグループは砂塵をまいて第2周目に入る。セニアクラスの51番1km地点でプラグ替、9km地点でチエン切れで棄権。

(第2周)
6、104、2、109、8、7番順でホームストレッチをすぎたジュニアクラスの7番ドーリムが、バックストレツチでは109、8番を抜いて4位につく。セニアクラスは55、54、52、57、59の順でスタート線を経過したが、直線コースで57番メグロ豪快な操縦ぶりで52番を抜き、50Rのカーブ地点で54番をとらえ、5K地点近くでこれを抜く。ヘアピンまでのカーブを上手にのりきり、55番を抜いてトップに立つ。セニアクラスの56番エンストで棄権。

(第3周)
ジュニアの順位は6、104、7、8、109番、2周おくれ1番、3周おくれで3番。
 セニアクラス好調は57番のトップ、それに55、54、52、53と続き、59番調子がでずもたつく。バックストレツチで54番メグロぐんぐん追いあげて55番を交して2位に進出。ここで57、54番のメグロが上位を確保する。

(第4〜5〜6周)
このあたりになるとセニア、ジュニアが入り乱れての混戦。ジュニアの6、104、2、7番のドリーム陣は堅陣をくずさず、5位を走る8番メグロは、追し上げてくる6番手の109番ドリームにはさまれて苦戦。
 ジニアクラスでは67、54番のメグロが、55番ホスクの果敢な追撃をおさえている。

(第7、8周)
9K地点からホームストレッチにかかるころジュニアクラスの109番ドリーム駿足をもつて8番メグロを抜き5位につき、ここで上位陣はすべて6、104、2、7、109番のドリームー色となる。第8周も順位動かず。

(第9、10、11周)
後半戦に入りジュニアクラスのトツプを走つていたペースメーカー6番車、やや調子を落し、9周5K地点で104番にトップを譲る。10周ではさらに2番に2位も譲り3位を保つ。他に順位異動なく第11周に入る。
 セニアクラス53番9周7K地点でエンスト後再走したが、トップとの差すでに2周、59番また3周おくれ。11周1K地点で52番エンスト棄権。

(第12、13、14、15、16周)
セニアクラスでは57、54番のメグロ車が一番時計をあらそつてさらに調子をあげる。これにジュニアクラスの上位時計104番ドリームが続き、セニア55番ホスク、ジュニアの2番ドリームが追いあげ、3、4周おくれの各車が完走を目ざして疾走。9.351kmコース1杯に爆音は間断なく続く。
 第13、14周ではセニアクラスの54番トップに立つたが、15、16周では57番強く、再びトップを奪う。13周からはジュニアクラスの104、2、6、7、109の順うごかず進行。重量車陣のボリュームにとむ好レースに、大観衆しばし手に汗をにぎる興奮の真つただ中を、セニアクラスの57、54番メグロまずゴールイン。
 続いてジュニアクラスの104番ドリーム、セニアクラスの55番ホスク、ジュニアクラスの2、6番のドリームと続いてゴールになだれこむ。
 やがてレース終了の花火が打ちあげられ、興奮さめやらぬ観衆に、本部からタイムの発表がアナウンスされ、ジュニアクラス・チャンピオンは104番ドリームのダークホース鈴木義一選手。セニアクラス・チャンピオンは57番メグロの老巧杉田和臣選手ときまる。杉田選手は本誌寄贈の最高スピード賞、大トロフィーをも獲得した。
 かくて午後2時から各レースの表彰、閉会式が行われ、2日間にわたる第2回浅間火山レースの熱戦譜はつつがなく終了した。

クラス 順位 車番 ライダー名 メーカー名 年齢 レースタイム 平均時速 Best Lap
(Km/H)
350cc 1 104 鈴木義一 ホンダ 305 26 1 36 22 93.2 5.55
2 2 佐藤市郎 ホンダ 305 28 1 36 50 92.7 5.55
3 6 谷口尚巳 ホンダ 345 21 1 38 4 91.5 5.56
4 7 小沢三郎 ホンダ 345 22 1 40 20 89.5 6.08
5 109 佐藤 進 ホンダ 345 . 1 40 22 89.5 6.10
6 8 杉田清蔵 ホスク 34 1 42 16 87.8 6.13
7 3 大石享一 ライラック 20 2 7 24 70.4 6.25
8 1 桝田竹志 ライラック 19 2 9 39 69.2 6.51
500cc 1 57 杉田和臣 メグロ 32 1 33 8 96.4 5.36
2 54 折懸六三 メグロ 25 1 33 26 94.8 5.40
3 55 井上武蔵 ホスク 37 1 36 46 92.7 5.56
4 53 関口源一郎 メグロ 23 1 46 21 91.1 5.52
5 59 菊地良二 メグロ 22 2 6 21 78.9 6.12
52 立原義治 ホスク 32 11周目棄権 5.57
56 佐藤 勇 メグロ 27 3周目棄権 6.03
51 野田恭三 ホスク . 2周目棄権 18.31
58 直井源久 キャブトン . 1周目棄権



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500優勝のメグロRZ型
350優勝のホンダC-70Z型
350cc: 2 ホンダ佐藤
と 3 ライラック大石
250優勝のヤマハYD-A型
63クル−ザ−大岳と
66ヤマハ下良
250 START
125優勝のヤマハYA-A型
125cc:50R 先頭はヤマハの大石秀夫
ホンダは、第1回に続き、125cc、250ccの両クラスで優勝を逃し、ヤマハの圧勝となった。
350ccクラスと500ccクラスは同時に開催された。まず350ccがスタートし、3分後に500ccがスタートした。出走8台の350ccクラスでは、ホンダの鈴木義一、佐藤市郎、谷口尚巳、小沢三郎、佐藤進が1〜5位を独占。6位はホスクの杉田清蔵、7〜8位はライラックの大石享一、桝田竹志だった。レース中の最速ラップタイムは、佐藤市郎(ホンダ)の5分55秒。
出走9台の500ccクラスでは、メグロの杉田和臣、折懸六三、関口源一郎、菊池良二が1、2、4、5位、ホスクの井上武蔵が3位に入った。レース中の最速ラップタイムは、杉田(メグロ)の5分36秒だった。
250ccクラスも、ヤマハの益子治、砂子義一、下良陸夫が1、2、3位を独占。ホンダの加藤正男、秋山邦彦、谷口尚己、鈴木義一が4〜7位。クル−ザ−の大岳実が8位となった。レース中の最速ラップタイムは、ヤマハの益子の5分40秒だった。
125ccクラスでは、ヤマハの大石秀夫、宮代正一、松野弘が1、2、5位、ホンダの水沼平二、宇田勝俊、福田貞夫が3、4、6位、トーハツの花沢昭、鈴木伸義、泉川明治が7、8、9位を占め、第1回に続きヤマハが圧勝した。レース中の最速ラップタイムは、ヤマハの大石の6分16秒だった。
第2回浅間火山レースは、1957年(昭和32年)10月19〜20日に、新装なった “浅間高原自動車テストコース”で開催された。このコースは、1周9.351qの未舗装。火山礫が散らばる砂利敷きではあったが、日本で最初のサーキットと呼べるものだった。
スズキはこのレースには参加しなかった。この大会では、125ccクラスと250ccクラスは、7台ずつ30秒間隔のインターバルスタートとなった。
浅間高原自動車テストコ−ス
[1957年第2回浅間火山レ−ス]