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         1960年第3回クラブマンレース(宇都宮)ー1

 第3回全日本モーターサイクルクラブマンレースは,1960年9月3,4日の両日にわたり,宇都宮市清原に於いて開催された。台風の来襲によって危ぶまれた天候も,公式練習を含めての数日間は全く恵まれた好天続き。

                            

 参加レーサーも総数323台に及んだ。50ccクラス53台,125ccクラス54台,200ccクラス24台、250ccクラス54台、350ccクラス19台,500ccクラス13台,501cc以上24台、国際レース34台,ゴーカート12台,旧車12台,クラブ対抗7組21台,それにコレダチームの模範レース3台(本年6月TTレースに初出場のRT60型レーサー)である。

 公式練習は3日前の8月31日から行なわれ,9月2日午後1時からは車体検査が行なわれた。

 2日の夜は宇都宮市栃木会舘で前夜祭が行なわれ,本誌主催のミス・モーターサイクリストコンテスト,宇都宮駐とん陸上自衛隊音楽隊による演奏、TTレース記録映画等の上映があり,レース前の興奮を高めた。

 3日は午前8時から入場式が行なわれた。ミス・モーターサイクリストと自衛隊音楽隊の先導によって選手団が各クラブ旗を持ってゴール前に入場,酒井文人大会々長の開会宣言,石橋保選手(東京サイクロン)の選手団代表の宣誓,祝辞ののち,レースの幕は切って落された。

 まず50ccクラスの予選があり,T組、U組がそれぞれ5周して,4日の決勝に進出する24台が決められた。ついで125ccクラスのT組、U組、V組の予選が10周、250ccクラスのI組,U組の予選が15周ずつ行なわれた。国際レースは予選を行う予定であったが,これを行なわず,翌日の決勝で全部が出走することになった。つぎにエキジビションの旧車レースの決勝レースが行われ、クラブ対抗リレーもクラブの栄誉をかけてクラブ員の盛んな声援のうちに行われた。ゴーカートは2組に分かれ、予選を行い、決勝は翌日に持ち越された。

 4日(日曜)はぎっしりとつまった観衆(観衆は3日,4日両日にかけ宇都宮市始まって以来の延べ10万人に及んだ。)の声援と初秋の空をどよもす爆音のうらに決勝レースがつぎつぎに行なわれた。ついで各クラスの表彰式か行なわれ,優勝杯,各賞品の授与があり,午後6時無事閉会。明年の再会を約して選手達はこの日の感激を胸におさめてそれぞれ帰郷した。

50ccクラス

ランペットの圧勝
セルペットの内藤隆寿 頑張って4位に

 50ccクラスの決勝は予選を通過した24台で争われた。4日午前8時43分スタート、5周13.8kmで完走したのは22台。第2回クラブマンレースのこのクラスで圧勝したスーパーカブがランペットの前に完敗した。

 1周目では,横山徹,吉村喜光,有川英司,西久保功,大竹徹,伊藤潤,日向昌勝といった順でゴール前を通過した。1周目,2周目では乱戦であるが,3周目位から上位は決まって来た。トップから吉村喜光,横山徹,西久保功,大竹徹,伊藤潤,井上正夫の順である。有川英司のランペットが2周目からぐっと落ち,西久保が3位に上って来た。スーパーカブの期待を一身にあつめた藤井は1周目,2周目と9位、8位あたりを走っていたが,次第に上位に上って来た。

 ランペットは依然快調で,4周目となると,上位の3人吉村喜光,横山徹,西久保功は他を引きはなして飛し,ランペット上位入賞の感を深めた。内藤隆寿のセルペットは追いこみ激しく,2周目では下位から一挙に9位に上り,4周目では先を走る3台のランペットとスーパーカブを抜き,5位に上った。5周目では大竹徹わランペットを抜き4位に上り,5位の大竹を2秒離してゴールインしたのは見事な走行ぶりであった。

 4周目,5周目と上位3人のランペットは快調でそのままゴールイン。吉村喜光と,横山徹,西久保功の順。吉村と横山は殆んど同着,タイムは10分59秒であった。3位は西久保功でタイムは11分16秒。活躍したセルペットの内藤隆寿は11分36秒で4位に入ったがセルペットの4位はほめてよい。

 1,2,3,5位と圧倒的に50ccクラスを制圧したランペットは,10000rpmで約6HP,最高速度約100km/h という高性能である。ギヤは市販ランペットと同じ3段である。

 井上正夫は1周目10位,2周目ではぐっと上って7位,3周目では6位に上ったが4周目ではセルペットに抜かれて8位に落ちた。5周目では伊藤潤が落ちたので,7位でゴールインした。タイムは11分41秒。

 スーパーカブ勢のために一人活躍した藤井璋美は着実なペースを守り,4周目では6位に上り,そのままゴールインして6位に入った。タイムは11分41砂で,7位の井上正夫と同タイムであった。またスーパーカブで期待された伊藤潤は,1周目6位と2周目も同じく6位を走り,3周目では有川のランペットが落ちたので5位に上った。しかし,4周目,5周目では落ち,結局ゴールインしたのは11分49秒で10位になった。

 トーハツスピードの有川英司のランペットは1周目は3位に入る快調であったが,途中エンジン不調で回転が上らず,2周目では4位,3周目では7位,4周日では10位に落ちた。5周目では伊藤潤のスーパーカブが落ちたので9位,タイム4分11秒でゴールインした。

 50ccの決勝は4日の第1レースであったので,観衆もすくなく,場内の整理も良く行なわれ,整然たるレース振りであった。

 このクラスに見せたトーハツ陣の活躍は,快調のペースそのもので目を見はるものがあった。

50ccクラス決勝(5周13.8km)
順位 車番 ライダー名 年齢 クラブ名 車名 レースタイム ベストラップ
1 A1 吉村喜光 19 東京オトキチ ランペット 10.59 2.01
2 A28 横山 徹 17 東京オトキチ ランペット 10.59 2.08
3 A36 西久保功 22 ABCスピード ランペット 11.16 2.10
4 A30 内藤隆寿 23 東京コレダ セルペット 11.36 2.14
5 A51 大竹 徹 28 ホワーエセス ランペット 11.38 2.17
6 A44 藤井璋美 30 船橋ホンダチャンピオン スーパーカブ 11.41 2.17
7 A10 井上正夫 23 東京オトキチ ランペット 11.41 1.53
8 A35 日向昌勝 21 ABCスピード セルペット 11.42 2.17
9 A27 有川英司 25 トーハツスピード ランペット 11.47 2.06
10 A24 伊藤 潤 21 YSビクトリ− スーパーカブ 11.49 2.15
11 A19 足立次男 26 ハイスピリッツ ランペット 11.56 2.20
12 A49 沢畑  実 20 日立ハイスピード スーパーカブ 12.01 2.18
13 A20 松本英一 20 東京ビーグル スーパーカブ 12.06 2.18
14 A17 橋本一男 26 東京クロネコ セルペット 12.27 2.23
15 A11 長田正大 27 山梨スピード ランペット 12.30 2.20
16 A33 吉崎秀夫 33 東京ヴアンキング セルペット 12.31 2.26
17 A25 橋本重夫 30 山梨スピード ランペット 12.31 2.14
18 A2 岡本常男 27 山梨スピード ランペット 12.33 2.26
19 A8 小曾戸節夫 24 宇郡宮 スーパーカブ 12.40 2.28
20 A41 滝本至得 20 東京モトクロス スーパーカブ 12.41 2.22
21 A18 森下 勲 22 城北ライダース ランペット 13.03 2.02
22 A48 原田仍通 19 東京イヌワシスピード セルペット 13.04 2.33
R A29 橋本忠雄 30 山梨スピード ランペット . 2.16
R A46 大久保力 21 東京オトキチ ランペット . 2.29

125ccクラス

堀越正一初優勝、本田和夫(2位)、森下 勲(3位)

 このクラス決勝進出の主たる顔ぶれは,本田和夫,森下勲、松内弘之,石井義男,堀越正一,沢畑実,有川英司たちである。50ccに昨年,今年と連続タイトルをにぎった東京オトキチの吉村喜光は練習中エンジン故障で不出場。また注目されたドカティ125(ライダー望月泰志)は,練習中オイルタンクからのパイプをしめているナットがゆるんではずれ,瞬間オイルが空になり,エンジン焼付き,ピストンがたてに2つに割れて,出場不可能となった。

 またこのクラスのハイクラスライダーである鈴木誠一(城北ライダース)は胃が悪く,医者からとめられて不出場。今年のこのクラスの特徴は,本田和夫、森下勲,松内弘之など有力ライダーがトーハツに乗っていることである。同時に石井義男(サイクロン)本田和夫など今まで重量クラスで活躍したライダーが軽量クラスに顔を出して来たことも見逃せない。

 スタート直後,本田和夫のトーハツが真っ先に飛び出た。彼はそのままトップを持続して1周目をまわった。2分5秒。2位は2秒おくれて堀越のベンリイ。3位は2位に1秒おくれてトーハツの森下勲。この3番がトップライン。早くもトーハツとベンリイの争い。レースファンには,これは興味あるレース展開である筈だ。第2ラインは森下に4秒もおくれて5,6,7位の3者がつづき、さらに第3,第4と1周目にして早くもいくつものグループにわかれて疾走。昨日の予選で荒れたコースからは遠慮かしゃくなく埃は舞いあがり空は曇り,風はないため,先陣の舞いあげる埃は散らず空中にただよい立ちこめ,その立ちこめる埃の中に次のグループが突込んで行ってさらに埃を舞いあげ,埃の層はさらに濃くなり,ライダーたちの姿はまったく埃につつまれライダーは視界を奪われてミスを続出,コースから飛び出して畠に突込むなど転倒者次々とうまれ,レースは一種異様な殺気めいた雰囲気をつくり出した。わずか2.75kmのコースにして1周目すでに脱落者4名。井上正夫,横山徹,西久保功(以上トーハツ)沢畑実(ベンリイ)。沢畑は昨年の浅間jでこのクラスで6位を獲得したライダーだ。

 2周目。森下がトップにおどり出た。50ccクラスで,バッテリをバンドでしめるのを忘れるというごく小さな不注意のため,レースを失うという大きな失敗を招いた。彼にとってこの125クラスレースは背水の陣である。この周彼のラップタイム1分48秒。これは速い。全周のラップタイム2位は堀越(2周目)及び根岸敏雄(5周目)1分52秒である。したがって森下は2位のラップタイムを4秒もはなして高ラップタイムを樹立したことになる。1周の距離が短いこのコースにおいて,それも小量車において4秒の差は相当な開きであろう。

 この森下勲につづいて堀越正一。本田和夫は3位に落ちた。この3者に10秒以上もおくれて根岸敏雄(ベンリイ),伊藤潤(ベンリイ),出羽猛治(コレダ)の第2グループ。以下は1周目とかなり順位に変動があり,この周の脱落者は広瀬清(トーハツ)のみ。

 3周目。堀越がトップを奪った。2位本田和夫。森下が3位に落ちた。これはゴールしたとき彼に聞いてわかったことだが,彼は第2コーナーでギヤチェンジをトップからローに入れた途端、ニュートラルにはいってしまって畠に突込み,転倒したとのことだ。

 4位根岸,5位伊藤,6位は出羽が落ちて日向昌勝があがり,7位には,森下のクラブメート,芝浦工大学生、おとなし型ライダー松内弘之(トーハツ)があがった。この周脱落者なし。

 4,5,6,7周目も堀越は快調でトップ,2位本田和夫,3位森下と順位はかわらない。が,1周目14位であったトーハツスピードのエース有川英司は序々に追いあげ,6周目には4位となった。しかし彼は特別速いラップタイムで走ったわけではなく,1周目をのぞいて,2,3,4周を各1分59秒,5,6,7周を各1分57秒と大きくミスすることなく平均したタイムで走った結果だ。出羽猛治(コレダ)、山口仁久(ベンリイ)、佐野安弘(ベンリイ)はいずれも5周目で脱落、この周までの脱落者は計8名,1/3が脱落した。

 7,8,9周目。堀越やはりトップ。彼の快調はつづき,2位以下を離し気味。本田和夫、森下,有川の順位もかわらず,5位に花沢秀雄(ベンリイ)が伊藤を抜いてあがり,松内は7周目すでに2周おくれ。彼はリヤブレーキのアームとロツドの間のピンがとんでフロントブレーキだけで走っていた。

 このころには2,3周おくれもかなりまじってレースは混戦状態。埃はますますはげしく,その中を,船橋ホンダチャンピオンクラブ所属,もとプロライダー,浅間にもメーカーチームのクルーザーから出場した経験を有する堀越正一(29歳)がトップを走り続け,2位を21秒もはなして優勝した。

125ccクラス決勝(10周27.55km)
順位 車番 ライダー名 年齢 クラブ名 車名 レースタイム ベストラップ
1 B32 堀越正一 29 船橋ホンダチャンピオン ベンリー 19.30 1.52
2 B7 本田和夫 25 オールジャパングランプリ トーハツ 19.51 1.54
3 B10 森下 勲 22 城北ライダース トーハツ 19.52 1.48
4 B47 有川英司 25 トーハツスピード トーハツ 20.05 1.56
5 B6 根岸敏雄 19 埼玉ホンダツーリング ベンリーSS 20.12 1.52
6 B13 伊藤 潤 21 YSビクトリ− ベンリーSS 20.18 1.58
7 B18 花沢秀雄 22 船橋ホンダチャンピオン ベンリーSS 20.18 1.57
8 B12 半場精一 28 東京オトキチ トーハツ 20.47 1.59
9 B33 村上喜信 18 宇都宮 ベンリー 21.21 2.01
10 B17 中島正夫 26 湘南 コレダ 22.02 2.05
R B29 橋本富蔵 19 東京オトキチ トーハツ . 2.03
R B16 日向昌勝 21 ABCスピード コレダ . 2.01
R B31 石井義男 26 東京サイクロン ベンリーSS . 1.58
R B28 松内弘之 24 城北ライダース トーハツ . 1.57
R B44 滋野靖穂 20 東京かっぱ ベンリーSS . 2.00
R B22 芝 武美 26 チャンピオン コレダ . 2.01
R B4 佐野安弘 26 船橋ホンダチャンピオン ベンリーSS . 2.01
R B51 山口仁久 21 栃木アローオートランド ベンリーSS . 2.04
R B23 出羽猛治 22 ハイスピリッツ コレダ . 2.03
R B37 広瀬 清 20 山梨スピード トーハツ . 2.17
R B46 沢畑  実 20 日立ハイスピード ベンリーSS . .
R B41 井上正夫 23 東京オトキチ トーハツ . .
R B25 横山 徹 17 東京オトキチ トーハツ . .
R B45 西久保功 22 ABCスピード トーハツ . .

200ccクラス

折懸六三(ハイスピリッツ)優勝
完走は約3分の1車


 200ccクラスは出場申込みが24台であったので,予選を行わず,決勝が行われた。10周27.55kmのレースで,スタートラインに並んだのは21台,そのうら完走したのは7台である。

 1周目は久野勇のホンダSSがトップに立ち,折懸六三の同じくホンダSS,ブルックスのホンダS Sが続いた。つずいてブレッカーの順であった。

 2周目、3周目ではかなり変動があったが,上位は変らない。このクラスには,折懸六三(ホンダ),久野勇(ホンダ),本田和夫(パリラ)などの歴戦のメンバーのほかに,三沢ダスターズから外人ライダーも3人顔を見せている。まず久野,折懸,ブルックス,,プレッカー,W・バーカーといった順であった。3周目から榎木正夫のホンダS Sが上位にあがって来た。絃局上位は殆んどホンダS Sで占められた。

 4周目では,ゴール前を久野、折懸,榎本,N・ラッツ、ブレッカー,W・バーカー,本田広ドカティの順となって通過。この頃から1周遅れ,2周遅れが続出して,見ている方でも,3位や4位はどれなのか全く見当がつかなくなる。

 5周目では,久野,折懸,榎本,N・ラッツ,W・バーカーの順になり,ブレッカーが6位に落ちた。

 6周目では,折懸が久野を追い抜き,続いて榎本,N・ラッツ、W・バーカー,ブレッカー,本田広の順となる。6周目から10周目のゴールまで上位3人,即ち,折懸,久野,榎本の順位は変らない。

 7周目から8周目にかけてラッツが落ちて,バーカーと本田広があがって来た。麻田悦司(ホンダ)はよくブレッカー、本田広を交して5位についたがエンジンストップで脱落したのは惜しまれる。9周目でラッツはスピードアップしてバーカーのつぎ5位に入りこむ。

 9周目の順位はそのまま10周目のゴールインまで続いた。結局,折懸六三がタイム18分43秒で1位,2位は久野勇で19分2秒,3位が榎本正夫で19分42秒,4位がバーカーで20分17秒,5位がラッツで20分19秒,以上5台はすべてホンダスーパースポーツ,6位が本田広のドカティで20分20秒,7位がブレッカーのホンダSSで20分40秒であった。

 このクラスの出場車は、ホンダSSのほか,パリラ,フジモーター,ヤマグチ,ヤマハ,T.W.N.、トライアンフ等が見受けられた。

 9周した選手は期待されたパリラの本田和夫は9周完走10位にとどまったが,このほかに北原豪彦,江部善之,松本英一,安良岡健,内田力蔵の各選手があった。8周したのは田中弘,塚本章三郎,林照一郎。7周したのは麻田悦司,高橋健吉の各選手であった。

200ccクラス決勝(10周27.55km)予選ナシ
順位 車番 ライダー名 年齢 クラブ名 車名 レースタイム ベストラップ
1 C16 折懸六三 28 ハイスピリッツ ホンダSS 18.43 1.47
2 C19 久野 勇 28 船橋ホンダチャンピオン ホンダSS 19.02 1.48
3 C10 榎本正夫 24 所沢クレージー ホンダSS 19.42 1.53
4 C3 W.C.Barker 24 三沢ダスターズ ホンダSS 20.17 1.57
5 C13 N.M.Lutz 30 三沢ダスターズ ホンダSS 20.19 1.57
6 C23 本田 広 30 オールジャパングランプリ ドカティ 20.20 1.58
7 C20 Bleecker 30 三沢ダスターズ ホンダSS 20.40 1.59
R C4 本田和夫 26 オールジャパングランプリ パリラ . 2.01
R C18 北原豪彦 24 オールジャパンフジ フジモーター . 2.01
R C14 江部善之 . 栃木アローオートランド ホンダSS . 2.00
R C21 松本英一 20 東京ビーグル ホンダSS . 1.52
R C6 安良岡健 20 オールジャパンフジ フジモーター . 2.09
R C2 内田力蔵 19 ICBM パリラ . 1.34
R C17 田中 弘 22 碧水オート ヤマハ . 2.12
R C5 塚本章三郎 24 キングスネーク ホンダSS . 2.18
R C11 林照一郎 21 京都赤トンボ ホンダSS . 2.15
R C22 麻田悦司 22 ウエスタンゲート ホンダSS . 1.56
R C12 高橋健吉 19 神楽坂 ヤマグチ . 2.23
R C9 Brooks 30 三沢ダスターズ ホンダSS . 1.58
R C24 小宮輝夫 20 ネオクレージ トライアンフ . 2.15
R C1 田村三夫 28 オールジャパンフジ TWN . .
R C7 田中照郎 24 オールジャパンフジ フジモーター . .
R C15 Denman 25 九州タイミング ホンダSS . .
R C8 橋本義男 24 YSビクトリ− ホンダSS . .

250ccクラス

益子治,置き去りの独走
2位折懸六三・3位野口種晴


 予選のハイライトはなんと言っても野口種晴の素晴らしい快走であった。彼は都会的なあかぬけのした美しいフォームで快走につぐ快走、迫力あるレースを披露した。予選T組に出場した彼は、スタートでエンジンがかからず、スタートしたときはビリから2番目、先頭はすでに第1コーナーをまわっていた。以後彼はこれを追って回を重ねる毎にゴボー抜きに抜いた。あれよあれよという間に8周目遂にトップを奪った。以後独走。この間1分44秒というラップタイムを記録し、この日全クラスを通じてのヒーローとなった。

 決勝進出め主なる顔ぶれは野口種晴,益子治、望月泰志,久保和夫のヤマハ組,折懸六三,堀越正一,久野勇のホンダ組。それに東京ビーグルの高岡恭之は純粋のクラブマンで昨年(1959)の浅間350で深い練習をつんだ。これらのライダーのうち,成続から見ての双璧は野口と益子である。野口はいうにおよばず,益子は1958年浅間耐久250でのチャンピオンであり,昨年浅間クラブマン250で転倒後の猛烈な追込みは喝采を博した。また過日の宇都宮コース開きの際も最高ラップタイムを記録している。

 スタートに際し,抽選でスタートポジションの決定がなされた。各ライダーは抽選の結果前列,後列の2列に並んだが,これは各ライダーから不満が出ていた。予選の着順にポジションを決定すべきだ、埃の激しいこのコースでは後列に並んだものはソンをする。折角予選でいい順位を得たライダーが後列に並んだりするのは不公平だというのである。この意見はもっともだ。

 これに対し,あとで大会々長は着順でスタート順を決定する筈であったのに審判部が選手団の意向により変更したといっていた。

 抽選の結果,益子は前列に,野口は後列に当った。残暑はきびしく,その太陽のもとにライダーたちは位置についたが,コース不整理のせいもあって、なかなかスタート出来ず,ライダーたちは半時問ほども太陽にさらされたまま,スタートを待たされた。

 スタートは,予定時刻より1時間14分もおくれて2時45分。41番がすごく早く飛び出した。益子だ。スタート直後飛び出したまま2位の久野(ドリーム)を4秒もはなして早くも独走態勢。3位は堀越,4位野口,5位折懸,6位ロアーヤマハの渡辺文明,7位望月。2周目野口3位にあがり,堀越4位に落ち,3周目野口追いあげて2位にせまり,渡辺が落ちて望月6位にあがった。4周日野口,久野を抜いて2位にあがった。3,4周の野口のタイム1分44秒。これは益子の同周のタイム1分45,1分46より速い。一方5位の折懸は堀越に迫っている。このころにはすでに周おくれもかなり出て,入りまじっている。城北の久保和夫は走らず,あとで聞いてわかったことだが何とキャブのメインジェットを入れ忘れたためだという。今度のクラブマンレースは何故かこうした不思議に不注意の多いのが目立つ。

 5周目益子独走,野口がこれを追う。両車の差7秒。久野はますますおくれはじめ,彼のクラブメート堀越もおくれて折懸に抜かれ,折懸は久野に追って3位に迫る。望月は堀越に迫って6位。6周目望月5位にあがり,折懸,久野との差をつめ。7周目これを抜いて3位にあがった。久野はさらに望月にも抜かれ,ますますおくれる。益子,野口,折懸,望月の順位,ヤマハ,ヤマハ,ドリーム,ヤマハの順である。ヤマハ圧倒的となった。益子はスピードをゆるめず,野口これを追うが,しかし不思議なことに野口のスピードが落ちはじめた。見ていてもそれがわかった。事実彼は記録を見ても彼のタイムは7周目から落ちている。レーサーの調子はわるそうでないのにスピードは落ちはじめ、それに彼の疾走姿からは追う迫力が消えた。益子を抜くこと不可能と見て追うことを諦めたように見えた。8、9と周を重ねる毎に益子と野口の差は開き、益子は野口を置き去りにして独走,野口には昨日の予選のあの目のさめるような迫力はない。折懸はピッチをあげて野口を追っかけ、望月もその折懸を懸命に追う。堀越,ボイヤー(ドリーム)が望月を追って5位,6位。最初2位を走ったドリームの久野はすでにはるか遠くおくれ周おくれとなり,その上後輪タイヤはパンクしたかに見え,ペシャンコになったまま,ツ−リング中。これはあとでわかったことだが,パンクしたのではなく,後輪のリムがグニャと曲がったためであった。コースのわるさを物語るトラブルだ。

 10周目ごろには周おくれすでに続出,ひどいのは5周おくれもある。コースは荒れに荒れ,挨は豪華に舞いあがりどの地点もたえずだれかのライダーが走っているためコース全体埃の沈む間がない。厚い埃はコース全体をおおいライダーはその中にほとんどやみくもに突込んでいく。周おくれが多いのはそめ埃の中での転倒が多いせいだ。

 11、12,13,14周と益子,折懸 望月,堀越,ボイヤーと上位の順位はかわらない。しかし,益子と野口の差はいよいよ開き、野口と折懸の差はつまった。野口はうしろに折懸が追っているのを知らない走り方だ。野口のピットは野口に果してどんなサインを出しているのか?と思われた。そして14周目,折懸は野口のすぐうしろに迫り,両者の走り方から推して、野ロは折懸に抜かれると予感された。そして予感たがわず,野ロは最周ラップ折懸に抜かれ,2位の位置を失った。望月の追込みも懸命,猛烈に折懸を追った。折懸はリアブレーキ故障,フロントだけで走ったとのことだが,望月は350ccクラスでの快調を持続して、このレースに持ちこみ,序々に追いあげて上位にくい込み,3番に迫った。そして追う者の強味も手伝って,12周目このクラスの最高ラップタイム1分42秒を記録した。ラップタイム2位は野口の1分44秒(3〜4周目)。

 益子は第1周より最終ラップの15周まで終止トップを独走して優勝,350での雪辱をなした。彼自身の最高ラップタイムは1分45秒であり,総合タイムは26分38.2秒、2位の折懸を40秒もはなしていた。

250ccクラス決勝(15周41.3km)
順位 車番 ライダー名 年齢 クラブ名 車名 レースタイム ベストラップ
1 D41 益子 治 23 ミナトヤマハ ヤマハ 26.38 1.45
2 D3 折懸六三 28 ハイスピリッツ ドリームSS 27.18 1.46
3 D1 野口種晴 27 ノムラヤマハ ヤマハS 27.25 1.44
4 D25 望月泰志 28 ハイスピリッツ ヤマハS 28.03 1.42
5 D8 F.Boyer . ヨコタ ドリームSS 28.25 1.49
6 D34 堀越正一 24 船橋ホンダチャンピオン ドリーム 28.25 1.50
R D18 高岡恭之 25 東京ビーグル ドリームSS . 1.51
R D10 市川治夫 23 ジェントルサイクリスト ドリームSS . 1.53
R D44 Stuedeuant 30 三沢ダスターズ ドリームSS . 1.52
R D47 浪川英雄 19 東京スピードチャレンジャー ドリームSS . 1.56
R D26 高尾伸治郎 20 ロアーヤマハ静岡 ヤマハ . 1.53
R D15 白木武治 26 岐阜ヤマハ ヤマハ . 1.57
R D31 亀田 久 22 川崎トーダース ヤマハS . 1.59
R D37 前田佳久 20 ハイスピードハンター ドリーム . 2.00
R D13 中川都弘 21 スパイダー ドリーム . 2.05
R D29 根岸耕作 23 ゴーストップ ライラック . 2.10
R D51 久野 勇 28 船橋ホンダチャンピオン ドリーム . 1.49
R D48 久保和夫 27 城北ライダース ヤマハS . 1.48
R D52 菅野 茂 20 福島スポーツライダー ヤマハS . 2.03
R D21 小倉紀和 21 クマンバチ コレダ . 1.59
R D19 渡辺文明 19 ロアーヤマハ静岡 ヤマハS . 1.55
R D28 菅根一紀 18 バルコムコンペティション ドリーム . 3.27
R D4 立原義次 34 オールジャパングランプリ ライラック . .
R D50 大沢次郎 19 タイガースター NSU . .


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