1963年第6回クラブマンレース(三沢・小川原湖畔)
小川原湖畔の決戦
1963年10月12、13の両日にわたり第6回全日本クラブマンレースが
青森県三沢市にある米空軍三沢基地内で開催された。出場台数は75台。50cc、90cc、125cc、250cc、350cc&351cc以上の5クラスに分けられた。
コースは大自然をくりぬいて作られた
1周 4キロのダート。丘に登ると緑につつまれた青森県の町々を見渡すことが出来る.そして目下には美しい
小川原湖がある.レース当日は朝から晴天に恵まれ、肌寒いほど。
広大な小川原湖と,その彼方に八甲田の山なみを望する小高い丘。グレーダーで整地された黒っぽい土質のレースコース。ホームストレッチ地点に集った数十名のレーサー服に身をかためた若者。日米両国歌の演奏と共にポールに両国旗が掲揚される.10月13日,午前8時45分さわやかな秋晴れ下に.第6回全日本クラブマンレース開会式が挙行された.
全国からみちのくのここ青森県三沢基地内の特設コースに集った80余のクラブマンを代表して、地元三沢基地のロイヤル・リーム(スポーツライダー)による選手宣誓,次第に高潮する雰囲気の中で、第1レース、50ccクラスのウオーム・アップが開始された。
50ccクラス
6周 24km
矢島金次郎(城北ライダース/スズキ)に栄冠
M榎本義夫(2位)と@鈴木誠一(4位)
第1レース、50ccクラス出場者は19台。スズキ9台、ランペット5台、カブレーシング4台、・それにヤマグチのフレームにスポーツカブのエンジンを積んだ”ヤマグチ”が1台。スズキ勢は一部を除いて新鋭の市販レーサーMR-41を出場させている。
前日の公式練習では,城北ライダースを主力とするスズキと,長谷見昌弘(青梅ファントム)、榎本義夫(東京クレージーライダス)のカブレーシシグが抜きん出た走りぷりを見せていた。
9時19分,スターターが台上に上る。はりつめた一瞬。旗がふられる。スタート。吉田哲夫(城北ライダース/スズキ),プロムフィールド(ミサワダスターズ/ヤマグチ)が一寸遅れる。すがすがしい空気の中に20台の爆音がワーンと反響を残して遠のいてゆく。路面は前夜来の小雨のため、まだかなり湿っているようだ。全くほこりは立たず,2サイクル車の青白い排気煙がたなびいている。
1周目、2分程たって,かすかに2ストローク車の排気音が聞こえ,枯れた草原の彼方から白いヘルメットが見えかくれして近ずいてくる.ゼッケン16原田稔(東北スズキスピード/スズキ)が先頭だ、20m後方には同僚の田畑价一城北ライダースの矢島金次郎、鈴木誠一と、スズキが先頭集団を作りバックストレッチの左カーブを抜ける。5番手には榎本のカブレーシシグ、しかレ長谷見は来ない.
さらに1分が経過する。
2周目へ入る一団がかえってくる。上位3人は変らないが,榎本が鈴木を抜き3位に上っている。その差ば約30m。長谷見は12番を走って来た。どこかでミスしたのだろう。しかし,あきらめず猛然と追上げてくる。
この周のバックストレッチで9位を走っていた吉田は転倒。だが,すぐに押しかけてスタート。
3周目、トップグループに変動はない。上位4台が通過した後,救急車が出てゆく。1周目の転倒者が負傷しているらしい。カブレーシングで出場した地元のジャンソン(ミサワダスターズ)は,5位を走っている。長い腕を利用した手でチェンジ・アップしてストレートを下る。長谷見は8位に上っている。
バックストレッチを走ってきた時,先頭集団の順位は矢島,田畑、原田、榎本、鈴木・・・。折重なるようにしてコーナーを抜ける。10位の浜野順(シーホークス/ホンダ)はここで一回転する派手な転倒をしたが,元気にリスタート。
トップグループ5台ば等間隔で次々と
4周目へ。長谷見は更に1台を抜き7位に上っているが,トップグループとはかなりの差がある。バックストレッチでも矢島は首位をゆずらず,むしろ 2位との差を僅かではあるが大きくしている。
矢島を先頭に、カブレーシングの榎本を狭んで、田畑、鈴木,原田が続く。しかし,原田のスズキはちょっと不調気味で,明らかにスピードが落ちている。
やがて,
8周をおわった4台の先頭集団が帰ってくる。矢島金次郎を先頭に約10秒の差で榎本義夫、そしてほんの僅かの差で田畑价一、4位は鈴木誠一。
約1分後、第2集団が戻る。良く追い込んだ長谷見昌弘が先頭だ。続いて,ジャンソン、原田稔がフィニッシュラインを越えた。
50cc 6周 24km |
順位 |
ライダー名 |
クラブ名 |
車名 |
タイム |
1 |
矢島金次郎 |
城北ライダース |
スズキ |
19.58.2 |
2 |
榎本義夫 |
クレージーライダース |
ホンダ |
. |
3 |
田畑价一 |
東北スズキスピード |
スズキ |
. |
4 |
鈴木誠一 |
城北ライダース |
スズキ |
. |
5 |
長谷見昌弘 |
青梅ファントム |
ホンダ |
. |
6 |
ジャンソン |
ミサワダスターズ |
ホンダ |
. |
7 |
原田稔 |
東北スズキスピード |
スズキ |
. |
250ccクラス
15周 60km
三室恵義(スポーツライダー/ヤマハ)独走
このレースの出場車は僅か9台。もちろんクラブマンレース開催以来の”最低記録”である。
しかし、ヤマハ勢は三室恵義,野口種晴,益子治とスポーツライダークラブのメンバーが出場し、レースの興味をつないだ。
曇りがちだった空からは,ようやく陽光がもれ,コースの表面は次第に白ばみ,乾燥の気配を見せ始めた。10時ちょうど
スタート。押しかけ。最初に始動したは、小島松久(関西レーシング/スズキ)、つづいて三室。しかし,加速では小島のスクランブル用スズキTB改造車は,三室のTD-1に敵し得るハズもなく、一挙に三室が先頭に出る。湯沢康治(ヤングライダー・ホンダ)はちょっとスタート・ミス。
バックストレッチでは三室がトップ、約20mの差で来た小島は,豪快なスライド走法でアウトからアウトへ抜ける。以下益子,工藤忠夫(青森ホンダ/ホンダ),湯沢、野口,菊田実(ムサシノスピード/ヤマハ)・・・。菊田明男(ムサシノスピード/ヤマハ)は早くも転倒脱落。
2周目、3周目と上位3者は変らず。どちらかというと、ロードレース的なライデイングを見せる三室を追う小島の典型的なダート走法が目につく。三室も3分10秒という本大会の最高ラップを出して突つ走るが、これにガッチリとくいついている。ストレートの速度は全く問題にならないだけに,歓衆の小島に対する声援もしきりである。レースは彼ら二人をトップグループとして,パーキンス(ミサワダスターズ/ホンダ)、野口,パーカー(ミサワダスターズ/ホンダ)のグループが、益子を中に挟んだ形で進行していく。
4周目、三室・小島の差は相変わらず十数メートル。そして30秒後方の益子は、さらに第二グループの3台を30秒余り離している。
5周目もこの順位は変ちず,下位の工藤が転倒し,菊田のヤマハYDSが片肺となりピット・イン。しかし,
6周目のバックストレッチを通過する時,3位を走っていた益子の姿が消えていた。
トップの三室はようやく余裕を持ちはじめたようだ。それに反して小島は彼のマシンと共に疲労気味である。ホームストレッチの昇りを半クラッチを使っての追い上げにも心なしか衰えが見える。
8周目になって三室のトップは安泰となった。この周のバックストレッチでは,周遅れの菊田ではさんで小島との差は約100m。そしてもう1台のヤマハに乗るベテラン野口も,安定した走法で2台のホンダをかわし3位に進出している。次の周になって、小島のスズキは明らかに不調になった。もう三室との差は20秒。バックストレッチを走る姿にも元気がない。そして彼はこの周を終わり、自らコース外へ走り去った。
小島松久の脱落により、ヤマハ勢は1-2を形成した。三室恵義から1分半も後方を走るYDS(エンジンはTD1)の野口種晴は、ベテランらしく賢明に自らの地位を守り切った。3位には、スタートに遅れた若冠18才の湯沢康治が素質のヒラメキを見せた走り振りで入賞した。
250cc 15周 60km |
順位 |
ライダー名 |
クラブ名 |
車名 |
タイム |
1 |
三室恵義 |
スポーツライダー |
ヤマハ |
44.47.2 |
2 |
野口種晴 |
スポーツライダー |
ヤマハ |
. |
3 |
湯沢康治 |
ヤングライダー |
ホンダ |
. |
125ccクラス
12周 48km
スズキ勢全滅し、長谷見昌弘(青梅フアントム)楽勝
スタートライン後方でウオームアップを続けていた出場車の1台が、突然スタートラインを越え、本部席前へやってきた。ミサワライダーズの看板ライダー、ロイヤル・リームだ。何をするのかと見ていると、彼は見物している同クラブの同僚をつかまえてゼッケンを外させている。オヤオヤと思っていると、ヒックリかえしてまた締め付け始めた。何のことはない、彼のゼッケンはNo.6、それを逆さにしてNo.9としていたわけだ。
彼のマシンもまた変わっている。登録では「ヤマハ」となっているが、「ヤマハ」はエンジンだけで、あとは全部「トーハツ・ランペット」で、自称「トーヤマ」という化け物のような代物だ。スタートラインに並んだ車は16台。5台のベンリー・レーシング、5台の真新しいトーハツLR、3台のスズキ市販レーサー、そしてスズキSBとヤマハが各1台である。
10時54分スタート。
スタートは花沢昭(トーハツスピード/トーハツ),リーム,小島松久(関西レーシング/スズキ),長谷見昌弘(青梅ファントム/CR-93)が速かった。バックストレッチでも小島を先頭に長谷見が続いている。小島のマシンは,マルーンの細長いタンクを付けた駿足スズキ125市販レーサーだ。3位には小島と同型のマシンに乗る久保和夫、そしてリームをはさんで、玉田真市(トーハツスピード/トーハツ)と安良岡健(オールジャパシGP/トーハツ)が続いている。
2周目にはいるトップグループは,谷川勝巳(関西レーシング/スズキ)が安良岡健を抜いた他は変らず。しかし、この周のバックストレッチで玉田はエンジンストップ。押しかけして出て行くがバラついている。
3周目になって小島は長谷見との差をやや広げることに成功したが、
4周目には再びつめられ,どうしても逃げ切れない。バックストレッチの走法もインへたたくみに回り込む長谷見と、アウトからアウトへ豪快なスライドを見せる小島と対称的だ。しかし,この激しいトップ争いもこの周で終止符がうたれた。小島が落ちたのだ。
小島の脱落により、長谷見は久保和夫以下を30秒近くも引き離した独走態勢なった。そのことを知った久保・谷川はスパートをかけ、長谷見に追いすがる。だが彼らの追跡も失敗に終わった。
6周目のバックストレッチで、久保が大きく転倒し脱落、続いて
8周目、同じ場所で、谷川はマシントラブルのため脱落を余儀なくされた。
トップ争いの後方でも、レースは波乱模様を呈していた。転倒車・故障車が続出し、順位は次々と入れ替わった。その中で榎本は新人らしからぬ安定した走り振りを見せ、3周目7位、5周目4位と追い上げていた。
公式練習の走り振りから「優勢」の呼び声高かったスズキ勢の全滅により、
9周目榎本は2位に上った。3位にはすでに2台に減少したトーハツに乗る安良岡健、そして菊池津守(スネイルMC/CR-93)、リチャード・ギャノン(ミサワダスターズ/スズキSB)と堅実組が続いている。
最終ラップに入る長谷見昌弘は,もう1台のトーハツLRに乗る三吉一行(スリーホークス/トーハツ)を周遅れにする。ややぺ−スを落したとはいえ,2位の榎本義夫とはまだ1分以上離れている。続いて玉田真市,ギヤノン,リームが通過,しかし,玉田とリームはこの最終ラップ4kmを走り切ることができず,共に脱落。フィニッシュ・ラインを超えたのは僅か6台にすぎなかった。
125cc 12周 48km |
順位 |
ライダー名 |
クラブ名 |
車名 |
タイム |
1 |
長谷見昌弘 |
青梅ファントム |
ホンダ |
36.50.2 |
2 |
榎本義夫 |
クレージーライダース |
ホンダ |
. |
3 |
R・ギャノン |
ミサワダスターズ |
スズキ |
. |
4 |
E・クラドック |
ミサワダスターズ |
ホンダ |
. |
5 |
三吉一行 |
東京スリーホークス |
トーハツ |
. |
350ccクラス& 351cc以上クラス
350cc 16周 64km、351cc以上 17周 68km
三室恵義 失格し、外人組で1−2−3。重量車に生彩なし
エントリィが少なかったため,350,351ccのクラスは同時発送となった。しかし、両クラスを併せてもまだ11台。近年の重量車の不振ぶりを物語る数字ではある。
1時間にわたる昼休みの後,午後1時にスタートしたこのレースは三室恵義(スポーツライダー)の駆るヤマハTD−1のダッシュによって開始された。
2周目,三室を先頭に,ジャンソン(ミサワダスターズ/ホンダ),パーキンス(ミサワダスターズ/ホンダ)リーム(スポーツライダー/ヤマハ)の外人組にヤングライダーの湯沢康治(ホンダ)が続き,トップグループを形成した.この周のバックストレツチで,パーキンスが三室を抜きトップに出,集った多数の観客,特に基地のファンから声援を受けた。だが,このトップも束の間だった。ホームストレツチで、加速に勝るTD−1は簡単にバーキンスのホンダを抜き去ってしまったのだ。この時以後,三室とバーキンスの間で,激しいトップ争いが10周目まで展開された。しかし毎周折れ曲ったコースのどこかでアタマをとるバーキンスは,ホームストレッチの加速で,三室に抜かれるという苦しいレース展開に疲労し,後半は完全にペースが落ちてしまった。トップ争いの後方では,ジャンソン、リーム、デンソンにより3位が争われていた。4周目には,トップとの差は約30秒足らずであったが,10周目には1分近い差になっていた。この第2グループの中では,やはりリームが強く,7周目あたりから安定した3位を保った。
一方,351ccクラスのレース展開は,のどかなものであった。350ccクラスのはるか後方で,転倒したり,ピットインしたりしながらもレースは継続されBSAに乗る富山文男(東京アドベンチャー)が優勝した。さすがにストレートでの加速は重量車らしい豪快さを見せたが,コーナーワークでは車に振り回されているような感じである。最終ラップ,13周目。トップ三室とパーキンスの差は20秒以上、そして更に1分あまり遅れでリーム,こ周遅れのヨーヒをはさんでデンソン。
ゴールでは,三室恵義を先頭に15秒後に湯沢康治のドリーム。さらに5秒間隔で赤津勝,富山文男の重量車がゴールイン。パーカー,パーキンスそして1分ほど遅れてリームが入った。完走は,さきの125ccレースとは対称的に10台を数えたが,内容的には特筆するものがなかった。
レース終了後,車輌検査の行なわれる前に,スポーツライダーCから三室恵義のTD-1は250ccエンジンを積んでいるむねの報告があり失格した。このため,1位はパーキンスとなり,2位リーム,3位デンソンとなった。三室恵義には敢闘賞が授与された。
350cc 16周 64km |
順位 |
ライダー名 |
クラブ名 |
車名 |
タイム |
失格 |
三室恵義 |
スポーツライダー |
ヤマハ |
. |
1 |
R・パーキンス |
ミサワダスターズ |
ホンダ |
45.47.5 |
2 |
L・リーム |
スポーツライダー |
ヤマハ |
. |
3 |
R・デンソン |
ミサワダスターズ |
ホンダ |
. |
351cc以上 17周 68km |
順位 |
ライダー名 |
クラブ名 |
車名 |
タイム |
1 |
富山文男 |
東京アドベンチャー |
BSA |
. |
2 |
赤津 勝 |
ツーリストトロフィー |
Triumph |
. |
90ccクラス
8周 32km
城北ライダース(スズキ)圧勝
90ccのスタート 前から、吉田哲夫・小島松久・矢島金次郎
秋の日暮れは早い。時計の針はまだ2時前を指しているというのに,冷たい風が吹きはじめ,夕方の気配が感じられる。しかし,コースの各所の日だまりにたむろした観客は最終レース,90ccクラスのスタートを前に動きだす様子もない。
スタートラインに並んだ19名の出場者、―沢木栄治と長谷見昌弘は棄権―ゴグルが真正面から照りつける陽光にキラキラと輝く。
14.00時,中田義信スターターの旗がふり下される。一斉に押し掛け。静まりかえったコース上には,ただかすかにチエンの摩擦音がするだけ。しかし,それもほんの一瞬であった。はじけるような排気音と共に跳び出す一団はたちまち完全に乾燥した路面から巻き起る砂塵の中にのみこまれてしまった。
2分近くたってバックストレッチを戻って来る一団がかすかに見える。銀緑色のヘルメットの縦隊だ。やがてコーナーを曲がり、トップのの吉田哲夫(城北ライダース/スズキ)以下小島松久(関西レーシング/スギキ),矢島金次郎(城北ライダース/スズキ),久保和夫(城北ライダース/スズキ),鈴木誠一(城北ライダース/スズキ)と早くもスズキ”オンパレード”だ。スズキ80は,スタンダードに市販レーサーに似たへッドと排気管をつけたおかしな車である。6番手にいる菅家安智(杉並クラブ/ランぺット)以下はすでに一寸差をつけられた感じである。
この様相は、
2周目に入って一層顕著なものとなった。ひと固まりとなった5台のスズキは他を全く引き離してしまい、レースの興味は,この一団の争いにしぼられた。
3周目,吉田はトップを堅持しているが,2,3,4位はたえず順位に変動がある。鈴木誠一は20mほど離れて,チャンスをならっている。そしてバックストレッチに至ってトップ吉田を除いた順位は、1周目と一変し久保和夫が2位、3位鈴木誠一、4位矢島金次郎,5位小島松久となった。
後半戦に入る
4周目のホームストレッチでは,ついに久保がトップを奪い,吉田・鈴木は数秒の差で続く。更に10秒遅れて矢島と小島。5周目のホームストレッチでは鈴木は吉田とほとんど並んでいる。小島は5秒ほど離され、半ばあきらめているようだ。
6周目、スタンド前を駆け下るトップグループは,すベて城北ライダース組に占められた。
ゴールまで1キロあまりのバックストレッチ、久保和夫を先頭に鈴木誠一、吉田哲夫が数メートルの差で抜けていく。矢島金次郎はちょっとおくれ気味。
いよいよフィニッシュ。ゴールラインから200mほど手前にある90度のコーナー出口に観衆の視線が集まる。トップは車番8,鈴木誠一だ!。久保和夫,吉田哲夫もほとんど同時に姿を現わす。ゴール目指して必死の加速。鈴木・久保・吉田の順で相次いでゴールになだれ込む。 200mあまり遅れて矢島金次郎が4位。それから1分以上たって小島松久が帰った。
優勝した鈴木誠一の巧みなレース展開に、観衆は惜しみない拍手を送った。
90cc 8周 32km |
順位 |
ライダー名 |
クラブ名 |
車名 |
タイム |
1 |
鈴木誠一 |
城北ライダース |
スズキ |
22.14.5 |
2 |
久保和夫 |
城北ライダース |
スズキ |
. |
3 |
吉田哲夫 |
城北ライダース |
スズキ |
. |
4 |
矢島金次郎 |
城北ライダース |
スズキ |
. |
5 |
小島松久 |
関西レーシング |
スズキ |
. |
クラブ・チーム賞
クラブ優勝 城北ライダース 得点 21点
優勝者の横顔
50ccクラス優勝者 矢島金次郎(18才・城北ライダース)
このクラスは出場者が多く,東京の城北ライダースをはじめ,大阪,、兵庫,静岡,埼玉,東北など,全国12のクラブからベテラン9人が参加した.例年,激烈な予選レースを経て決勝戦に駒を進めるが,今回は予選なしのブッツケ本番。スタート直後から猛烈な首位争いを演じ,1周目にして早くも4台が転倒するという激しいレースであった。
栄冠の矢島金次郎は「クラブマンレースでの優勝は初めてだ.いつもだと「全日本」というととが頭から離れなくて多少堅くなってしまうのだヰが、今回は「全日本」のような気がしなかった.気分的に楽だったので善戦できたのだろう.公式練習のあと,ギヤを落しておいたのも良かったようだ」と,初優勝の勝因を語った。
90ccクラス優勝者 鈴木誠一(27才・城北ライダース)
各メーカーとも、このクラスに相当する市販車を発売し出したところから新たに設けられたクラス。出場車は21台に達し,今大会の樟尾を飾った。
80ccとこのクラスの中では有利な気筒容積を有しているスズキの車が断然多く、14台の出場で全体の半数以上を占めていた。
結果は城北ライダースが1位から4位までを独占,5位にも小島松久(スズキ)が食い込んで、スズキの圧勝に終わった。
「このコースでのレース開催が決定した頃,うちのクラブ外のライダー達から「是非,城北の車で出場さして欲しい」という希望などもあったので,そのテストといっては大ゲサだが,浅間へ3日間ほど車ならしに行って来た。結果は,うちのレギュラーメンバー出場ということになってしまったが,浅間コースでのトレーニングは,こことコースコンディションが非常に似ているのが良かったと思う。
ただ、朝のうちコースが滑るのには閉口した.うちのクラブとしては最初から50,90両クラスに重点を置いていた。幸い願いがかなったのでいうことはない」と喜びを語った。
125ccクラス優勝者 長谷見昌弘(17才・青梅ファントム)
ベンリイ・レーシングCR-93を駆って出場した長谷見は「直線での最高スピードはおよそ120キロぐらいだったと思う。5段あるところ3段までしか使えなかった。回転も12000〜13000が精一杯だった。4周目でトップに立ったが,後方を見たら誰れも追ってこないので、それからは回転を落し12000以下で走った。ギアは前14,後40だった。彼は17才の少年ライダーだ。昨年の10月に十国高原で行なわれた全日本モトクロス大会が初出場にもかかわらず50ccクラスでベテランを尻目に見事優勝,モトクロスにもCR-110などを持ち込んで活躍しており,ホンダのCR系統の車に乗らせては,実に巧みな天性派ライダーの一人といえる。
250ccクラス優勝者 三室恵義(21才・スポーツライダー)
「スタートは2番手だったと思う.直線のスピードが伸びるので第1コーナーの突込みでは楽に頭に立った」こう語る三室恵義は,昨年の第5回クラブマンレース(九州雁の巣で開催された)で一般に公開されたヤマハTD-1を駆って,同じ50ccクラスで優勝している。いうなればTD-1は三室の手中に納めている車だ.「公式練習のときは5段入れるのが一寸無理だった.で,帰ってからギヤレシオを変えたがそれが良かったようだ」とも語り「小島松久(関西レーシング)が追ってくるだろうと一応マークはしていたが,直線で150キロぐらい出る.1周回ってきたゴール地点で小島を大分離していたので,転倒さえしなければイタダケルと思った」と自信のほどを披歴していた.
350ccクラス優勝者 ジミー・パーキンス(ミサワダスターズ)
米空軍三沢基地でジェット飛行機のメカニックをやっているというパーキンス。ホンダCB-77を駆っての出走だったが「ワタシ
スタート ヨクナイ.デモ 2ラップ トップネ」と片言の日本語で優勝の喜びを語っていた.
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