企画段階では何枚ものイメージスケッチが提出されるが、これはその中の2点。初期にはダイヤモンドフレームやビキニカウル、キャストホイールを備える案もあつたようだが、市販車ではオーソドックスなスタイルに落ち書いている。 |
スズキ 4サイクルの父 中野廣之 スズキOBの中野さんによる「日本モ−タ−サイクルレ−スの夜明け」というウェプサイト(http://www.iom1960.com/)には、1960年代のロードレースについて詳細かつ貴重な記録が発表されており、歴史的に意義深いものとなっている。このサイト内には「GSシリーズ開発物語」という項目があり、こちらにも当時の記録が克明に記されている。 本企画はこのサイトがあったこそ成立したと言え、横内さんからも「GSの開発話を聞くなら、そりゃあ中野さんが一番だよ」との推薦をいただいたが、ご本人に連絡を取ってみると残念ながら数年前から体調を崩して居るとのことで取材は断念せざるを得なかった。ただしサイト内の記事引用は快く了承していただけた。(高野英治) |
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中野廣之(なかのひろゆき) | 横内悦夫(よこうちえつお) | 藤井康暢(ふじいやすのぶ) | 松本成欣(まつもとまさよし) |
1932年8月19日静岡県藤枝市生まれ。静岡大学工学部機械工学科卒後、1955年丸正自動車製造入社。1958年6月にスズキ入社後はレース用2サイクルエンジンの設計に従事し、1967年11月四輪車用4サイクルエンジンの開発設計。1974年3月よりGSシリーズのエンジンを開発。1978年主管に昇格。4サイクル二輪車の実験を担当、1984年まで全グループを統括。1985年からは中国プロジェクトの四輪技術担当となり、1994年8月に退社。 | 1934年4月5日宮崎県児湯郡生まれ。宮崎大学工学部機械工業科卒後、1957年スズキ入社。T20、T500、GTシリーズなどの2サイクル車を開発した後、1974〜75年はレース部門に在籍。1976年1月からGSシリーズの開発に加わり、750/400の海外テストに参加。以後GS1000を開発、さらにGSXll00S、RG−「、GSX−Rシリーズ、イントルーターなど次々ヒット作を生み出した。1996年4月退職。 | 1937年12月28日広島県府中市生まれ。千葉工業大学機械工学科卒後、1960年スズキ入社。研究開発部こて4サイクルの設計開発に従事した経験から4サイクルプロジェクトの初期メンバーに編入、GS750のエンジン実験を担当する。その後GS1000、GS850G、GSX750E、GS125、GN125、ATVやGV1200などを開発。1994年2月より中国・重慶市の望江スズキ社長に就任、1999年末に退職。 | 1940年2月18日愛知県豊橋市生まれ。1958年スズキ入社後、愛知大学法経学部法学科に通い、後に卒業。管理部門を希望するも設計部門に配属され、初期に手がけた作品はセルベット50など。T500やGT750を手がけGSシリーズでは車体設計を担当、以後1100カタナやジェンマ、DRやTS、RMやバギーなどにも関わる車体設計グループ長を務め、法務部を経で1997年2月退職。 |
GS750とZ1のエンジン比較 GS750が搭載する空冷4気帝DOHC2バルブの心臓部は、カワサキZ1と同様なエンジン形式と言える。さらに内蔵される組み立て式クランクや、カム直打式のパルプ駆動方式もやはり同様のメカニズムである。 だが無論両者に互換性はなく、例えばGS750の内径×行程は65.0×56.4mm、排気量は748.2ccで、排気量の近いZ2では64.0×58.0mm、746.3ccだし、クランクウェブの形状もGSは丸型でZはオムスビ型、カムシャフトの支持方式や材質も異なる。 クランクシャフト支持部のベアリンクにインナーレースを追加して耐久性を大幅に高めたり、シリンダーヘッドに走行風を導き冷却するラムエアシステムもGSならではの優れた設計だ。 |
改良、発展型のGSlOOO心臓部 GS1000のエンジンはGS750を基に排気量を拡大したもので、内径×行程は70.0×64.8mm、排気量は997.0ccだ。ポアは5mm拡大されているがシリンダーピッチは不変として横幅を抑え、前後長はキックシャフトを取り去り、逆に40mmの短縮と軽量化を実現している。パルプも750に対しINが36→38mm、EXが30→32と大径化。 クランクシャフトは750と同様組み立て式だが、ウェブはオムスビ型とだ円型の組み合わせに形状変更、180度クランクの400と共有設計のために設けられていたカムシャフト間のアイドラーギヤも省略されている。1次減速めギヤも750ではスパー(平行)だが、1000では静粛性に優れたヘリカル(斜め)式となった。 |
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