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以前、是恒邦通さんが開設していた「ヨ−ロッパ旅行記」の中から「マン島旅行・TTレ−ス観戦(1998年)」の部分を引用し、掲載させていただきました。マン島へ行かれた方、レ−スに参加された方々にとって、懐かしい記事が出てきます。

   ヨーロッパ旅行紀 IsleofMan〜WDM            by是恒邦通

1998年6月4日から16日までイギリス、フランス、イタリアを一人旅してきました。
と言うとよくある海外旅行みたいだけど、前半はイギリスのマン島(IsleofMan)での今年で91年目の伝統あるバイクレース観戦、そしてワールドカップで賑わうパリを経由して、後半はイタリアで開かれるDUCATI(ウチのバイク、通称ドカ)のワールドミーティング(WDM)に出席するため。

こんなのはツアーも無く、格安航空券を手に入れたら、あとは全部自分で手配しなければならない。
ついでに、マン島はイギリスとは別統治なので、どこの旅行会社も扱っていないし、本も出ていない。
またバイクを借りて走り回ろうと企んでいるけど、レンタカー屋はあってもレンタルバイク自体あるのかどうかも分からない。
さらにワールドカップと同時期の渡欧のため、交通機関や宿は早くから予約しておかないとダメという状況だった。

そのあたりのことはいろいろ画策してクリア。一つ言えるのは、今回ホームページがものすごく役に立ったということ。

出発数日前、ドイツで高速列車が事故って多数の死者を出した。ロンドンからパリの移動に使うのと同系列の列車で、ちょっとビビった。


                           《これ以前は省略》

6/5
朝、バイク店に行くと、今日は開いていた。これから6日間の愛車となるHondaNTV650と御対面。やっぱり夕べのヤツだ。担いでいたバックパック(15kg)をリアキャリアにくくり付け、肩から下げていたタンクバッグ(5kg)をタンクに載せ、持参したヘルメットとグローブを着けて10時、ノッティンガム目指して出発!まずPetroriumStation(ガソリンスタンド)でガソリンを入れるが、セルフサービス初体験ですったもんだしてしまう。一般道ではあちこちにラウンドアバウウト(ロータリーみたいなやつ、右側からの車両が優先される)があり、出会うたびについ歌ってしまう。 ♪I'llbe heroundabout..♪12年ぶりの海外での運転なので、回りの様子を伺いながら慎重に走る。ところが、ロンドンから北に向かうモーターウェイM1に合流するところで大ヒンシュクをやってしまう。M1という案内を見つけて急に車線変更したため、左側から私を抜こうとしていた四輪(これは四輪側の違反)と接触。前輪が一瞬浮いてしまうほどの衝撃だったけど、なんとか持ちこたえた。車の運チャンと目が合ったが、お互い後ろめたいところがあったので(?)そのまま分かれた。タンクバッグに入れたMichelinの地図で位置を確認しながら120〜150km/hでひたすら北上。だんだん寒くなってきて、雨まで降っり始めたので、レインウェアを着込む。風が遮断されるだけで一気に寒さは緩和される。ノッティンガムで知人(写真の勉強で留学中)と待ち合わせをしていたけど、遅刻して到着。半年振りの再会は30分で終了し、出発。マン島行きの17時のフェリーに乗るためで、今度は150km北西のリバプールを目指す。地図で見つけた一般道(と言ってもAクラス道路)で直線的に行くことにしたが、途中で道に迷ったり、雨に降られたりして結局フェリーのお見送りをした。フェリー受付に行くと、乗り遅れたフェリーの予約は入って無かったと言う。ホームページで往復の予約をしておいたのに。もっとも「往」には自分が遅れたから強いことは言えないけど、「復」の予定のフェリーに乗れない場合、また宿の予約を変更しないといけない。ところがまだ3日先であるにもかかわらず満杯。結局「往」は明日の朝7時、「復」は4日後の朝7時の便となり、宿の予約の変更でバタバタする。今日も予定外のホテル泊。リバプールといえば、当然ビートルズ参りで、MathewStreetへ。でもビートルズ・グッズの店は閉まっている。窓を開け放ったバーからはディスコ(クラブという感じじゃない)音楽がガンガン。通りには危なそうなオニーチャン、オネーチャン達がたむろしている。カラまれないように、腰まである髪をなびかせて辺りを威嚇しながら、平静を装い(内心ドキドキ)通り過ぎる。夕飯はバーガーキング

6/6
5時、朝食を運んできたボーイのノックで起床。幸いまだ体内時計が日本時間で動いているようで、苦手な早起きも苦にならない(日本は昼過ぎ)。夕べも雨が降ったらしく、ススけた感じだった街が洗われて、ちょっと新鮮。濡れた道路をフェリーポートに向い、今度は無事乗船。カーデッキに乗り込むと、そこは一面バイク、バイク、バイク。出航のとき甲板にいたが、近くにぶら下がっていた救命ボートの底から突然水がドバーと流れ出し、あたりは水浸し。ボート内にたまっていた雨水が水圧で流れ出たようで、本番(そんなのヤだよ)のときはこのボートに乗るのはやめようと思った。寒くて甲板にはいられず、落ち着ける場所を探すが、いたるところ人人人。ようやくVideoLaungeに安住の地を見つける。シケると「便器とお友達となる」と聞いていたけど、そんなことも無く4時間後、雲に覆われたマン島に着岸。大勢のバイクに混じってタラップ(?)を下りて、ついにライダーの聖地に足を踏み入れる。と感慨に浸る間もなくまた雨。ついでに今日のレースのスタートが1時間後なのに、レースコースまでの道を知らない。あせって走り回ったら偶然コースにたどり着いたけどなんか変。 実はここでのレースはサーキットではなく、公道を使う。レースのスタート30分前に道路を閉鎖し、終われば開放して普段の生活道路となっている。その道路をスタート30分前に走っているのに、一向に閉鎖の兆しがない。アレアレアレ?と思っていたら天候不順のためレースは明日に延期だって。TouristInformationのカフェで昼食。島内の地図をゲットして今後の作戦を立てる。そして当然、コースを回ることにする。1周が60kmもある一般道で、民家の庭先や、石の壁をかすめて走り、信号、ラウンドアバウト、道路脇には歩道、おまけに踏切まである。ツーリングでなら気分良く景色でも眺めながら走れるが、とてもレースをするようなところじゃない。コースの後半1/3は山の中で、入ったとたん濃霧。シールドが曇って前が見えないので、開けて顔はビショビショ(それでもロクに見えない!)。おまけに薄手のジャケットしか着てないので、寒さでヘルメットの中で歯がガタガタいっている。何度もUターンを考えたが、そこはやはり「前へ」で突き進み、数10分の格闘の末、濃霧ゾーンを脱出。お日様の有難さが身に染みた。ドロドロになりながら1周を終え、グランドスタンドに戻り、パドックや店を見物。 老夫婦がお揃いの皮ジャンで正装して、2人乗りしている光景も珍しくない。これから3泊お世話になるDillonさんのB&B(Bed&Breakfast:民宿)にチェックイン。お風呂で身体を暖めたところで夕食が無いことに気付く。 ここは島の中でもど田舎で、数少ない店もすでに閉まっている。 街までは20kmあるけど仕方が無いので、濡れた髪のままバイクで買い出しに出る。レーシングコースを走りながら店を探すが、なかなか無い。やっと見つけたコンビニで、パン,ハム,ミルクetcを買い、戻ったが、これだけで30km走っていた。幸い湯冷めはしなかった。3日目にして、やっと予定通りの宿で就寝。

6/7
朝5時から予選があるけど、雨が降っているし眠いからパス。9時、今は止んでいる。B&Bの朝食はイングリッシュ・スタイルで、豪華。グランドスタンドに行き、I氏から借りたディジタルカメラをバイクのタンクに乗せて車載カメラをスタンバイ。閉鎖される前のコースを撮るために大勢のバイクとともにスタート。天気は上々、穏やかに市街地を抜け、山に入ると昨日とは打って変って快晴!イングランドのなだらかな山並みが続く。空の青と山の緑、でもそんなのはお構い無く、みんなカッとんでいく。先の見えないブラインドコーナーでも対向車線にはみ出しながらガンガンとばしていく(対向車も来るのに!)。昨日霧で四苦八苦していた辺りは杭が打ち込まれているだけのガードレール。1周を終え、グランドスタンドで数人の日本人と出会う。 レーサー1人と取材陣4人。何でも私同様観戦に来た日本人があと1人いるということだ。そんなに少ない日本人。バイクは日本製ばかりなのに。道路が閉鎖されないうちに第1コーナーへ移動してそこで観戦。雨で昨日から今日に延期されたうえ、さらにスタートが遅れ、周回数も減らされたTTF1レースはホンダ車の優勝で終了。その後ホンダの50周年記念パレードがあって(高橋国光も30年以上前のレーサーで参加)本日のイベントは終了。閉鎖が解除されてコースはまた一般道路に戻る。まだまだ時間があるので、(夏至間近の北緯55度、ついでに夏時間なので日没は午後9時半!)海沿いのメインストリートに向かう。 そこらじゅうバイクだらけのイベントだらけ。50周年記念で開いているHondaMuseumに寄ったら、ナイジェル・マンセルのマシンなんかも置いてあった。バンのハンバーガーで夕食。日没後のメインストリートの広場にバイクで迷い込んだら歩道に大勢集まった観衆の拍手喝采を浴びた。どうやらバカ騒ぎ会場となっているようだ。通りのまん中でオネーチャンが下着一つでポーズをとっているし、マックスターンをやっているし、オニーチャン達がスッポンポンでチャリンコを乗り回している。警官も交通整理をする程度で、騒ぎをおさえようとはしない。しばらく観賞して、また拍手喝采を浴びながら退場。5分も走ると街の雑踏から抜け、昼はレースコースとなる田舎道を宿に向かった。

6/8
朝、雨は降っていなかった。Dillon家の猫とじゃれてから朝食。車載カメラにして宿を出発。すると雨がポツリポツリ。今日の観戦ポイントのBallaughBridge(ジャンピングスポット)に着き、通りを見ていると、各観戦ポイントに向かうバイクが後から後から通り過ぎて行く。ある者はジャンプしながら。レース開始30分前、コースが閉鎖され丸太1本のバリア裏に陣取る。オフィシャルの女性が缶を持って観客の間を回っている。 このレースは島民自らが運営していて、レースの運営費をカンパで集めているのだった。そして雨は本格的に降りだした。今日のレース、ライトウェイト・クラスのレースは、雨のため周回数が3周から2周に減周された。せっかくのジャンピングスポットなのに雨のためレーサー達は抑えて走り、ジャンプするマシンはほとんどいない。みんなヒョコヒョコと通過していく。そして今日の残りのレースは翌日以降に延期となった。「あーあ、またか、サイドカー・レースも見たかったのに」。コース脇の雑貨屋で雨宿りしながらサンドイッチとウェハースの昼食。宿に戻ろうとバイクをスタートした瞬間、ガキッ!ガシャン!!!  「???エッ???」フロントディスクにロックをかけたまま発進したため、転倒しちまった。近くで見ていたライダーが駆け寄ってすぐに起こしてくれたけど、「後は自分でやりな」と言った。 当然だね。 なんと左のステップが折れて転がっている。 雨の中、30分かけて応急手当てでステップを取り付け、騙し騙し乗って宿に戻る。 体が冷えていたので風呂に入ろうとしたけど、水しか出てこない! 諦めてリビングルームでストーブにあたりながら、他の宿泊客(やはりライダー)にビデオを見せたら、夕べ撮ったバカ騒ぎのが大受けした。午後5時、雨がやんでいたのでメインストリートへ向かい、やはり不便なのでバイク屋へ寄り、左側だけレース用のステップを付けてもらう。 左右チグハグだけど、これで安心。今日の夕食は、チリドッグ。 みやげ物屋をハシゴしてマン島グッズを買いあさる。日本人のオニーチャン2人組に出会う。この後フランスへ渡ってワールドカップの観戦に行くという。

6/9
朝7時のフェリーに乗るため、早朝起床。Dillon家のオジイチャンが作ってくれた朝食をいただき、用意していた「のし袋」に宿泊費を入れて渡す。犬達に見送られて、Dillon家を後にし、走り慣れたレーシングコースを通ってフェリー乗り場へ。来たとき同様の小雨模様。 「See you again,Isle of Man」  乗船するとどこもいっぱいなので、またもVideoRoungeへ。シケて揺れてたけど、疲れで半分眠っていたのでNoproblem。 気が付いたらリバプール。 「おー、雨がやんでいる」。往路での失敗を繰り返さないように、今度は遠回りだがMotor Wayをひた走り、Nottingham着。 また待ち合わせに遅刻したため、夕食をおごることになる。

                             《これ以後は省略》



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