1962年から、メ−カ−タイトルはホンダ、個人タイトルはRedman(ホンダ)、がそれぞれ3年連続獲得しているが、本年は、MVが新開発の3気筒でホンダ4気筒に挑戦することになった。ライダ−は、新人のAgostiniとHailwoodである。
第1戦西ドイツGPは、MV3気筒のAgostiniとRedmanの争いが続いたが、終盤にRedmanがスリップ転倒し、Agostiniの優勝、2位は4気筒で出場のHailwood(午前中の公式練習で3気筒が焼き付き、調子の良くない4気筒で出場した)。
第2戦TTレ−スには、ヤマハのReadが空冷2気筒の254ccで出場した。レ−スは3周までHailwood・Redman・Read・Agostiniの順であったが、4周目Hailwoodがリタイア。結果はRedman・Read・Agostiniの順となった。
第3戦オランダGPは、Hailwoodはスタ−トが悪かったが、レ−ス中盤にはトップのRedmanに追いつき、一時はトップにも立ったが、その後不調になり次第に遅れた。結果は優勝Redman、2位Hailwood、3位は不調だったAgostiniとなった。
第4戦東ドイツGPは、AgostiniがRedmanに大きく差をつけて楽勝かと思ったが終盤にエンジントラブルでリタイア。優勝はRedman。Hailwoodは序盤に不調でリタイア。
第5戦チェコスロバキアGPは、序盤にAgostiniが転倒、Hailwoodも序盤にエンジントラブルでリタイアし、Redmanの優勝。
第6戦アルスタ−GPは、MVのHailwood・Agostiniは欠場し、ヤマハのReadが出場した。序盤はRedmanとReadのトップ争いがあったが、Readがリタイア。Redmanの独走となったが、最終ラップに変速機故障で転倒。優勝はJawa2気筒に乗る、チェコの39才のベテランStastnyとなった。
第7戦フィンランドGPは、アルスタ−GPで負傷したRedmanは欠場、Hailwoodも不参加、ヤマハのDuffが出場した。レ−スはDuffは序盤にリタイア。Agostiniの優勝。
第8戦イタリアGPは、Redmanが欠場。Hailwoodは終盤転倒リタイア。優勝はAgostini。メ−カ−タイトル、個人タイトルともに、日本GPに持ち越しとなった。
最終第9戦日本GPには、ホンダ255ccの6気筒が姿を見せたが、Redmanは乗り慣れた4気筒で出場、6気筒マシンには、粕谷勇が乗った。レ−スは、中盤までAgostiniがトップ、HailwoodはRedmanを牽制をするという展開だったが、Agostiniのマシンが不調となりピットイン。結果は優勝Hailwood、2位Redman、3位にホンダ6の粕谷、4位にホンダ4の山下護祐、5位にAgostiniとなり、4年連続メ−カ−タイトルはホンダ、個人タイトルRedmanとなった。
(4)350cc:Agostiniが新型MV3気筒でホンダに挑戦
日本GPを最後に、レ−ス担当の「研究三課長」清水正尚先輩と、実験係長の神谷安則さんと、エンジン設計担当の鈴木清一くんが商品設計部門の「二輪設計部」に転出することになった。清水さんは、第1回の浅間レ−スから、ずっとレ−スを担当され、1962年からは「研究三課長」を務められた、スズキのレ−ス関係の最長老である。また、神谷さんは、第3回の浅間レ−ス以来レ−ス用エンジンの性能アップ等の実験を担当し、メカニックとしても、気難しいDegnerの信頼を得てずっと彼の専任メカニックを担当してきた(彼のいないレ−スグル−プはとても成り立たないため、1966年の後半から戻って貰ったが)。また、鈴木清一くんは、小生と同じく1958年にスズキに入社し、1959年の第3回浅間レ−ス以来、小生の良き「テコ」として、エンジン設計を担当し、1962年には留守部隊として、RM62の性能アップエンジンを、TTレ−スに送り込み、Degnerを優勝させた陰の「立て役者」でもあった。
かくして、1965年の250ccは、前年に続きメ−カ−タイトルはヤマハ、個人タイトルはReadの獲得で終了したが、ホンダは13戦中7戦しか出場せず、ホンダ・ヤマハの直接対決ではホンダ4勝、ヤマハの3勝だった。ヤマハにとって、タイトルはとったものの、スッキリしないシ−ズンだったことと思われる。
なお、スズキの250ccクラスへの挑戦は、今シ−ズンを最後に幕を閉じることになった。1961年より5シ−ズンの挑戦で、表彰台に登ったのは、1964年のフランスGPの3位、本年度のTTレ−ス3位の2回のみ、延べ出場台数は60台、うち完走は僅かに14台という、惨憺たる結果を残して・・・。
第6戦オランダGPには、Perris・Ahearn・片山義美が出場した。片山は250cc初出場である。公式練習タイムの順位はRedman・片山が同タイムの一位、続いてRead・Duffだった。レ−スは、1周はRedman・Read・片山・Duffだったが、2周目Redmanは第1速ギアが使えなくなり、片山は失火に悩まされ、順位はRead・Redman・Duff・片山となり、このままの順位でレ−ス終了、5位にBeale(Honda 4)、6位にWoodman(MZ)。Perris・Ahearnは、共にプラグカブリでR。
イタリアGPで初登場の
ヤマハ水冷V型4気筒
ベルギ−GP 4位の片山義美
第7戦ベルギ−GPにも、Perris・Ahearn・片山義美が出場。公式練習タイムの順位はRedman・Duff・Read・Perris・片山の順。レ−スはRedman・Readの猛烈な競り合いとなり、0.4秒差でRedmanがReadを下し優勝、続いてDuff・片山・Perris・Beale(Honda 4).。Ahearnは大端焼付でR。
第8戦東ドイツGPは、スズキ不参加。レ−スはRedmanの楽勝、2位にRead、続いてWoodman(MZ)・Stastny(CZ)・Beale(Honda 4)だった。
第9戦チェコスロバキアGPは、スズキ不参加。レ−スは、終盤までRead・Duff・RedmanのTop争いが続いたが、最後2周は、Redmanのペ−スが落ち、Read・Duff・Redman・Woodman(MZ)・Rosner(MZ)・Stastny(Jawa)でゴ−ル。
第10戦アルスタ−GPは、スズキ不参加。Redmanは先に行われた350ccレ−スで変速機故障のため転倒負傷で不参加となった。これにより、昨年に続き、メ−カ−タイトルはヤマハ、個人タイトルもReadに決定した。レ−スの結果は、Read・Duff・Woodman(MZ)・Rosner(MZ)・Bryans(Honda Twin)。
第11戦フィンランドGPは、スズキ不参加。Redmanも負傷のため欠場。個人タイトルの決まったReadも欠場。レ−スの結果は、Duff・Rosner(MZ)・Bryans(Honda Twin )・Beale(Honda Twin)。
第12戦イタリアGP(22周)は、スズキ不参加。Redmanも欠場。ヤマハのReadは初登場の「水冷V型4気筒マシン」で、Duffは従来の「空冷2気筒」でレ−スに望んだ。Readはスタ−ト悪く、1周は最下位。第9周ではTopがProvini(Benelli 4)、Read2位、3位Duffとなったが、11周DuffはピットインR。12周にはReadもピットインして再スタ−ト。レ−スの結果は、優勝Provini、2位Rosner(MZ)・・・・Readは7位だった。
日本GPの片山義美。
4位だったが転倒リタイア
最終第13戦日本GPは、スズキは片山義美が出場。ホンダ6気筒はRedman・Hailwood・粕谷勇で公式練習に望んだ。ヤマハは水冷V型4気筒でRead・Ivy・長谷川弘の布陣。公式練習での順位はHailwood・Read・Redman・Ivy・粕谷・片山・長谷川・・の順。ヤマハは「空冷2気筒」も持ち込んだが走らせはしなかった?。レ−スはRedmanが前日の350ccレ−スで顔を蜂にさされ欠場。1周目Readは転倒。Hailwoodの独走のレ−スに終わった。片山は4周目4位だったが転倒R。結果はHailwood・粕谷・Ivyの順となった。
.車番 |
.ライダ−名 |
1周 |
2周 |
3周 |
順位 |
タイム |
順位 |
タイム |
total time |
順位 |
タイム |
total time |
2 |
Redman (Honda 6) |
2 |
22.54.2 |
1 |
22.36.8 |
45.31.0 |
1 |
22.55.8 |
68.26.8 |
8 |
Duff (Yamah Twin) |
4 |
23.36.6 |
3 |
23.27.0 |
47.03.6 |
3 |
23.28.2 |
70.31.8 |
10 |
Perris (Suzuki Square 4) |
6 |
23.56.4 |
5 |
24.46.8 |
48.43.2 |
5 |
23.31.6 |
72.14.8 |
1 |
Provini (Benelli 4) |
5 |
23.54.8 |
4 |
23.24.4 |
47.19.2 |
4 |
23.26.6 |
70.45.8 |
9 |
Stastny (Jawa Twin) |
7 |
24.52.4 |
6 |
24.32.4 |
49.24.8 |
6 |
24.35.2 |
74.00.0 |
27 |
Williams (Mondial 単) |
9 |
25.24.6 |
8 |
25.02.8 |
50.27.4 |
9 |
25.34.6 |
76.02.0 |
5 |
Read (Yamah Twin) |
1 |
22.38.2 |
R |
― |
― |
― |
― |
― |
45 |
Ivy (Yamah Twin) |
3 |
23.15.0 |
2 |
22.51.9 |
46.06.6 |
2 |
23.17.6 |
69.24.2 |
16 |
Beale (Honda 4) |
8 |
24.59.8 |
7 |
24.46.4 |
49.46.2 |
7 |
24.57.2 |
74.43.4 |
.車番 |
.ライダ−名 |
4周 |
5周 |
6周 |
順位 |
タイム |
total time |
順位 |
タイム |
total time |
順位 |
タイム |
total time |
2 |
Redman (Honda 6) |
1 |
24.26.6 |
92.53.4 |
1 |
23.14.8 |
116.08.2 |
1 |
23.37.6 |
139.45.8 |
8 |
Duff (Yamah Twin) |
2 |
24.11.2 |
94.43.0 |
2 |
24.23.2 |
119.16.2 |
2 |
24.10.2 |
143.26.4 |
10 |
Perris (Suzuki Square 4) |
3 |
25.15.8 |
97.30.6 |
3 |
23.31.8 |
121.02.4 |
3 |
23.29.6 |
144.32.0 |
1 |
Provini (Benelli 4) |
4 |
27.23.2 |
98.09.0 |
4 |
23.31.4 |
121.40.4 |
4 |
23.29.6 |
145.10.0 |
9 |
Stastny (Jawa Twin) |
5 |
25.50.8 |
99.50.8 |
5 |
24.48.2 |
124.39.0 |
5 |
25.43.2 |
150.22.2 |
27 |
Williams (Mondial 単) |
8 |
26.40.6 |
102.42.6 |
7 |
25.32.8 |
128.15.4 |
6 |
25.42.6 |
153.58.0 |
5 |
Read (Yamah Twin) |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
45 |
Ivy (Yamah Twin) |
7 |
32.05.8 |
101.30.0 |
R |
― |
― |
― |
― |
― |
16 |
Beale (Honda 4) |
6 |
26.02.2 |
100.45.6 |
6 |
24.58.0 |
125.43.6 |
R |
― |
― |
TTレ−ス3位のPerris・
2位のDuff・優勝のRedman
TTレ−スPerris3位
第1戦アメリカGPは、ホンダ不参加。3周までRead・Duff・Perrisで先頭グル−プを形成したが、Perrisはリアブレ−キ故障で1周遅れの4位となる。順位はRead・Duff・Grasetti(Morini)・Perris。
第2戦西ドイツGPは、Redmanが前日の350ccレ−スで転倒負傷で欠場。Perrisは、4周目4位で、4速ギア歯折損でR。順位はRead・Duff。
第3戦スペインGPは、ホンダ・スズキ不参加。中盤からReadとProvini(Benelli 4)のTop争いが続いたが、最終ラップにProviniが転倒。順位はRead・Torras(Bultaco)・Duff。
第4戦のフランスGP(25周)は、Redman(ホンダ)が今シ−ズン初出場。スズキはPerris・Ahearnが出場。レ−スはRedmanの独走だったが14周目変速機故障でR。Perrisはコンロッド小端スラストワッシャ−割れでR、Ahearnはピストン焼付破損で転倒R。順位はRead・Beale(Honda 4)Smith(Bultaco)。
「水冷スクエア 4」での2年目の挑戦となった。マシンは、第1戦アメリカGP・第2戦西ドイツGPは、昨年の後半戦に出場した「RZ64−U型」の車体のみを改良した「RZ64−V型」で出場し、第4戦のフランスGP以降は、新設計の「RZ65」となり、出力向上と共にミッション段数も6段から8段となった。
ホンダは、昨年のイタリアGPから登場した「6気筒マシン」で参戦。昨年、初のメ−カ−・個人の両タイトルを獲得したヤマハは、昨年同様の「空冷2気筒マシン」でRead・Duffが参戦したが、終盤のイタリアGPから「水冷V型4気筒マシン」を登場させた。
(3)250ccは「スクエア 4」で再挑戦したが!
第5戦TTレ−スには、PerrisとAhearnが公式練習にのぞみ、公式練習での順位は、Yamah-TwinのRead(22.46.6)、Honda-6のRedman(23.13.0)、Suzuki-Square4のAhearn(23.39.2)、同じくPerris(23.53.0)、Benelli-4のProvini(23.53.2)、初めてYamah-Twinのワ−クスに乗るIvy(24.13.0)の順。しかし、Ahearnは後の公式練習で転倒負傷しレ−スは欠場した。
レ−スは、午後1時30分丁度に、Provini・Redmanがスタ−ト。20秒後Read、30秒後Duff、40秒後Stastny・Perris、ゼッケン45のIvyは3分40秒後のスタ−ト。1周目Readはスタンディングスタ−トながら、250ccで初めて「オ−バ−・ザ・トン(平均時速100哩を破る)」の大記録を樹立し1位、続いてRedman・Ivy・Duff・Provini・6位にPerrisそしてPerrisはピットインしプラグ交換して再スタ−ト。2周目Readは一時Redmanに20秒余のリ−ドを奪ったがトラブルでR、Redmanは1周目のReadの記録を1.4秒上回る本レ−スのベストラップを出す。Perrisは5位。3周の順位は変わらず。3周終わって、Redman・Provini・Perrisはガソリン補給でピットイン。Duff・Ivyのヤマハはピットインせずに通過。Proviniはチエン調整に手間取り、スタ−トがProviniより40秒後だったPerrisが先に再スタ−トする。4周目、2位で大健闘だったIvyが転倒し7位と遅れ、5周目に入らずR。Duffはガソリン補給。順位はRedman・Duff・Perris・Provini・Stastny。5周、最終ラップもそのまま順位変動なく終了。スズキは、マン島TT250ccで初の3位入賞を果たした(タイムはともかくとして)。ちなみに、本レ−スにおけるPerrisのベストラップは23.29.6、2日後の125ccレ−スでのAndersonのベストラップは23.34.6で、250の方が僅か5.0秒速いだけだった。